第7章 シャブビドゥとキャロライン、抱き合わせの前世
0123.2つの前世をみたケース
次にご紹介するのは、彼女が1度のセッションで2つの前世をみたケースです。
前世回帰の仕方は、クライアントさんによって実にさまざまです。
まるで映画を観ているかのように、1つの人生での出生から最期の時までをくっきりと鮮明に見る人もいれば、スライドショーのようにその人生での重要な場面がワンショットずつ展開する場合もあります。
クライアントさんによっては、ほとんど映像は見ず、感覚や雰囲気だけで人生を追っていくタイプの人もいます。
また、たいていの場合は、1回のセッションで1つの前世を経験していただきますが、人によってはいくつもの前世の場面を体験する方もいます。
彼女の場合は、視覚と聴覚そして体感覚を使って、まるで映画を観ているかのように、またはその映画の中の主人公である自分自身の肉体と心に入り込んで前世を体験します。
1つの前世を詳細に鮮明に体験していくので、ほとんどの場合は1回のセッションで1つの前世を思い出すのですが、時にはいくつかの前世をいっぺんに体験することもあります。
そんな時は、たいていそれらの複数の前世を見るということに意味がある時です。
それらの複数の人生には、なんらかの関連性があり、同時期にそれらの人生を知ることに意味がある時に彼女は複数の前世を体験しているようです。
例えば、2つの前世を見て初めて1つめの前世を潜在意識が選んだ意味がわかるというような時です。
今回はそんなケースのうちの1つをご紹介してみましょう。
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0124.もう1つの前世の扉を開ける
そうして彼女はまた新たなドアを開きました。
新たな前世での彼女が降り立った地面は、カラカラに乾いてひび割れた土の上でした。
「裸足です・・・足首はとても細い・・・痩せています。足はざらついています。足の裏は硬くて・・・足の裏の皮はとても厚い感じです。皮膚は黒いです。・・・黒人です」
私は彼女がまたアボリジニだった時の前世に戻ってしまったのか、と思いました。しかしその時の彼女は、自分の肌の色を黒とは言わずに、黒褐色と表現していましたので何か違和感を感じました。
そこでさらにもっと自分自身をよく観察してもらいました。
「・・・ボロボロのズボンをはいています。上半身は何も着ていません。とても痩せています。少年です。8歳です。町の中にいます。土ぼこりがすごい・・・
人もたくさんいます。みんな痩せています。2,3人ごとにかたまっています。
建物の壁に・・・土壁です・・・寄りかかっています。
うつろな目をして、だるそうな感じで寄りかかっています」
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0125.水をこぼしちゃった・・・
彼女の潜在意識は、彼女をもう1つの前世へと導きました。
私は、彼女がより深くその前世の中に溶け込めるように誘導します。
「ではその黒人の少年であるあなた自身の体の中にぴったりと入って、その心と体で体験してください」
「・・・今、水をくんで運んでいるところ・・・あっこぼしちゃった・・・水をこぼしちゃった・・・」
彼女は鼻をぐずつかせて、少しベソをかきながら言います。
「どうしたの?お水は遠くから運んできたの?」
「うん・・・遠くから運んできたのに、せっかく運んできたのに・・・こぼしちゃった」
「どうやってお水を運んでいるの?」
「・・・バケツで・・・2つのバケツで・・・両手に持っているの・・・後ろから何か来る・・・車かな・・・ジープかな・・・」
バケツがあって、ジープが走っているとすれば現代からそう離れてはいない時代のようです。
彼女がバケツの水をこぼしちゃったと言ってベソをかいた時、私は彼女の中に間違いなく1人のいたいけない黒人の少年をみた気がしました。
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0126.少年の家族
「水をこぼして、君はどうしたの?」
「両方のバケツを置いて、ちょっと泣いた・・・すごく重いから・・・こぼしちゃった」
「水はどこから汲んできたの?まだ小さいのに大変だね・・・」
「うん・・・町の中心から汲んでくるんだ・・・噴水みたいな所があって・・・そこから・・・でもまた汲みに行かなきゃ・・・」
少年はそこでまた今来た道を引き返して、石で舗装された坂道を登っていきました。
私は少年の暮らしがわかる場面へと誘導します。
「じゃあ、今度は君が住んでいるお家に行ってみようね」
「・・・家が密集している・・・長屋みたいなお家がたくさんある。僕のお家は2部屋の小さなお家だ・・・お母さんが赤ちゃんを抱っこしている。
お母さんは頭を布で巻いて前でしばっている。兄弟もいる。弟が3人いる。その他にお母さんが抱っこしている赤ちゃん・・・僕が一番大きいお兄さん」
「そう・・・だから君が水を汲みに行っていたんだね。みんな何をしているの?」
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0127.僕の名前・・・
ここからは、少年の暮らしについてさらに詳しく聞いています。
「みんな水を待っていたんだ。食べるものが何もないから・・・水しかないから・・・
弟は毛布をかじっている・・・お腹がすごく空いてる・・・それにすごく暑いし・・・」
「そう・・・君の名前は?」
「シャブビドゥ・・・」
「シャブビドゥ君・・・いつからこんな風にお腹が空く生活なの?ずっと前から?」
「・・・半年位前から・・・僕が住んでいるのはアフリカのどこか・・・内乱みたいだ・・・
違う部族の男の人たちがたくさん攻めて来たの・・・同じ肌の色をしているアフリカ系の人たち。みんな、鍬(くわ)や鋤(すき)、鎌(かま)などの農機を持っている。
・ ・・敵対する部族の男たちが急に僕たちの部族が住む村に攻めて来た」
「そう・・・その時、シャブビドゥ君はどうしていたの?」
「僕は・・・家の中から見ていたんだ・・・震えながら、『お願いだからこっちに来ないで』と思いながら隠れながら見ていたんだ・・・その時、お父さんも殺された。僕たちの部族の男の人たち・・・応戦した男の人たちはみんな殺された・・・」
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0128.お腹が空いたなあ・・・
またしても彼女は侵略される側の前世に行き着きました。
キャベッツア、ファンジ、リッサ・・・これらの前世の他にも一方的に何の罪もない子供や弱者が侵略されたり、強者の犠牲にされる前世をたくさん彼女は経験しています。
彼女の心の原風景は・・・魂のルーツはとても哀しみに満ちています。
「今までも貧しかったけれど、それからもっと貧しくなったんだ。敵の部族は、市場もめちゃくちゃにして、町全体を破壊して行った。そうして食べ物を奪って行った。家も壊して・・・僕の家は盗られるものが何にもなかったけど」
私はあまりにも悲惨な状況に抵抗も出来ず、ただおびえながら運命を受け入れるしか術のない貧しい1人の少年の告白に胸がつまるような思いでした。
「かわいそうに・・・今、町の中はどうなっているの?」
「食べ物がないから、みんなうつろな目をしている。道路で座っている人たちは死ぬのを待っているだけ・・・」
「シャブビドゥ君はどう?」
「・・・お腹が空いたなあ・・・3日くらい食べていない・・・3日前くらいにボランティア団体の人の配給で食べたっきりだから・・・」
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0129.もうすぐ死にそうだ・・・
「何を食べたい?」
「・・・炭水化物みたいな・・・芋みたいなものとチリコンカンみたいな豆を煮たようなものが食べたい・・・お腹が空いたなあ・・・」
私はなんだか一刻もはやく彼女とシャブビドゥ君をこの場から連れ出したい気持ちにおそわれました。
「ではその後のことがよくわかる人生の次の場面へと移りましょうね」
と言ってその場から時を進めました。
しかし、彼女もシャブビドゥ君もその場面から連れ出すことは出来ませんでした。
「・・・僕も、もう死にそうだ・・・息が絶え絶えで・・・ぐったりしている・・・」
「あれからずっと何も食べていないのですか?他にも誰か亡くなっているの?」
どうもシャブビドゥ君の人生での次の場面とは、家族でお腹を空かせていたあの時から何日か経った日のようです。
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0130.弟にはハエがたかっている
「うん。みんな死んだ。弟たちは次々に死んでいった・・・ベッドで死んでいる弟の体は腐敗してハエがたかっている・・・
お母さんは壁に寄りかかって、赤ちゃんにおっぱいをあげたままの格好で死んでいる・・・
僕だけが最後まで生きていたんだ・・・
でも、もう水もくめない・・・僕は床に転がっている・・・ハエを追い払うことも出来ない・・・」
シャブビドゥ君は壮絶な最期を迎えようとしていました。
彼女はこれまでの前世回帰でも子供時代に不幸な事件やおそろしい体験にあっていますが、今回のシャブビドゥ君はまだ8歳という幼さで人生の幕を下ろさなくてならないのでしょうか。
いつもよりも早い彼女の人生の終焉に私は少し戸惑っていました。
「もう、この肉体から抜け出たいですか? まだこの人生で見なければならない、思い出さなければならない場面はありますか?」
「・・・はい、あります。思い出さなければならない重要な場面があります」
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0131.思い出さなければならない重要な場面
彼女はこのシャブビドゥの人生で初めてはっきりと明確に自分の意見を言いました。
「ではその場面をはっきりと思い出してください。そして報告してください」
「軍隊みたいな・・・車が来た。車から降りてきた人たちは僕たちとは人種が違う・・・白人です。大勢で様子を見に来た。
僕の家に入って来て・・・何か言った・・・『ひでえな』と言った・・・僕のお母さんや弟たちの死体を見てそう言った。
そして床に転がっている僕の背中に足を乗っけて靴のつま先で蹴って、『これだから野蛮人はバカなんだ』と言いながら足で転がされた・・・」
「・・・その白人はどんな格好をしていますか?ちょっとようく見てみて」
「帽子をかぶった白人たち・・・ナポレオンがかぶっているような帽子」
彼女は今の自分のフィルターをとおして観察しているようです。
「あなたはその時、まだ生きていたのですよね。何を考えていましたか?」
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0132.僕は人間なんだ
「ひどい。とても悔しかった。その時の自分は何を言われているかわからなかったけれど、バカにされたということは、はっきりとわかった。
お母さんや弟たちの死体を見ても憐れみどころか、人間らしい悔やみの言葉もなくて、まだ息をしている僕をまるで汚い物みたいに扱って・・・靴で踏んで、それから蹴られた・・・
同じ人間なのに・・・ひどい・・・」
シャブビドゥとしての人生でどうしても見なければならなかった最後の場面は、人間としての尊厳を踏みにじられた憤りに満ちたものでした。
私は今までにも彼女のいくつもの前世に立ち会い、さまざまな凄惨な場面に彼女と共に遭遇して来ましたが、このときほど1人の大人として、先進国の一員として、人間という生き物を愚かに感じたことはありませんでした。
また1人の母親として、かつて数々の無意味な戦いの犠牲となった子供や母親たちの声を持たない慟哭が聞こえてくるような錯覚を覚えました。
ただ、ただ心がとても痛かったのです。
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0133.理不尽な人間関係に対する怒り
こうしてシャブビドゥ君は、その虐げられた肉体から離れて、ようやく飢餓と悲しみから抜け出ることができました。
いつものように彼女の魂はすうっと中間世へと進んでいきました。
そうしてやはりいつものようにメッセージを受け取りました。
「シャブビドゥは生まれた環境による差別、傲慢さへの怒りを持って死にました。
ただ有利な立場に、たまたま生まれたというだけで、自分たちの方が偉いと思っている人がなぜ存在するのかわからない。
同じ人間なのに、何も悪いことをしていないのに弱い立場に生まれたというだけで、人間として扱ってもらえず、家族や自分が屈辱的な最期を迎えたことに対する理不尽さを強く感じています」
彼女の口調はまたいつものように穏やかで淡々としたものに変わりました。
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0134.この人生の課題とは
「シャブビドゥ君の人生の課題は何だったのですか?」
「最期の気持ちを学ぶための人生でした。また、飢え、貧困を体験するのも課題の1つでした。
最期に白人の男性に踏みにじられ、物のような扱いを受けながら死んでいかなければならなかった理不尽さを学ぶことが大きな課題でした。
最期に死にかけた少年である私を蹴飛ばしたあの白人にとっては、あの出来事は大きなカルマとなりました。
そういう意味ではお互いに大きな学びとなったのです。
私がいつも・・・この人生でも他の人生でも、立場が上の人や権力を持った人に対して拒否反応があるのはそのためです。
私が上下関係に非常に嫌悪感を感じるのは、いくつもの前世でこの課題を与えられていたからです。
この感情のルーツはこの前世だけではなく、いくつもの前世での経験にあるようです。
・ ・・あっ・・・すみません、もう1つの人生が見えてきました・・・どうしてかな・・・」
彼女の意外な言葉に私も少し驚きましたが、シャブビドゥ君の人生がいつもの前世回帰に比べて短かったので疑問を感じていたこともあり、そのまま彼女の潜在意識に任せてみることにしました。
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0135.しっかりと見ておくといいわよ
彼女は、すぐさま新たな前世へと入り込んでいきました。
「・・・風が吹いています。私は丘の上に立っています。私は女の子です。年齢は12歳です。オレンジ色のような髪は、長い2本の三つ編みにしています。
長いスカート・・・薄い茶色の長袖のワンピースを着ています・・・それに白っぽいエプロンをつけています。ブーツをはいているようです」
「そうですか。あなたは誰ですか?」
私はあえていつものような小さなアプローチを繰り返す手法ではなく、単刀直入に切り込んでいきました。
「キャロラインです。彼女から強い信念を感じます。それから強い決意を感じます。
そしてキャロラインが私に話しかけています・・・」
前世に入ったとたんに前世の人格が今生の自分に話しかけてくるというケースはとてもめずらしいものです。
「キャロラインはなんと言っているのですか?」
「『見に来たんでしょ? すごく重要だからしっかり見ておくといいわよ』と今、はっきりと言いました・・・」
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0136.とても稀なケース
『見に来たんでしょ?すごく重要だからしっかり見ておくといいわよ』とキャロラインは彼女に伝えました。
事の成り行きに、ヒプノセラピストとしての動揺と興味が、私の心の中で、いっしょくたに混ざっていくような不思議な感覚を覚えました。
前世の人格が今生の自分へと、前世に入ったとたんにこの人生は重要だからしっかり見ておけとは、まるですべてお見通しといった口調です。
いつもの彼女は、前世に入った時点では、その前世での人格がどのような性質をもち、どんな人生を送ったのかはまったくわかりません。
彼女に限らず、たいていのクライアントさんはみんなそうです。
前世に入った時点ではよくわからなかったことが、人生を順に追っていくにしたがって、少しずつ、あるいはセッションのどこかで噴出するようにいっぺんにわかるというのが普通です。
今回のようなケースはとても稀なのです。
またなぜシャブビドゥの人生のすぐ後、この前世のビジョンが現れたのかもこの時点では、まったく私も彼女も検討がつきませんでした。
正確には、私と彼女の顕在意識は、ということですが・・・
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0137.キャロラインの生活
「それではキャロラインさんの日常を教えてくださいますか?」
「馬の世話や床の拭き掃除をしています・・・どこか大きな領地を所有している人のお屋敷の下働きをしています。家族も一緒です。父と母とそして私です。敷地の中の小さな家で暮らしています。
父は馬車の御者をしているようです。母はこまごまとした雑用や事務などをしています。
私は母や父の手伝いをしたり、勉強をしたりしています」
「屋敷の人たちはどんな人たちですか? 何か困っていることなどはありませんか?」
「キャロラインは生き生きとしている活発な少女です。伸び伸びと育っています。庶民の教育レベルまでの教育は受けることができています。
とても気が強い女の子です。屋敷の人たちのことは好きになれないようです。やはり上下関係や階級などに嫌悪感を感じています。
お父さんやお母さんはとても善良で真面目な人たちです。一人娘のキャロラインのことをとても愛しています。
でもあまりにも奔放な娘に時々、手を焼いているようです」
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0138.キャロラインの信念
今回は前世への導入のしかたがいつもとは違うせいか、彼女はキャロラインの肉体の中に入り込む形ではなく、キャロラインからメッセージをもらう形での前世回帰となっているようです。
私は、とりあえずはこの形のままセッションを進めてみることにしました。
キャロラインからのメッセージが、少しも言いよどむことなく明白だったこともこのままの形を選んだ理由の1つでした。
彼女は私のクライアントさんの中でもっともたくさんの前世を経験しているクライアントさんです。
男性である前世と女性である前世は、ほぼ半数ずつで、生まれた国も環境もさまざまです。
しかしそのたくさんの前世の中での人格にはいくつかの共通項があり、いくつかのタイプに分類することができます。
特に、前世での人格が女性である場合、彼女の性質はおとなしく忍耐づよく、そして男性や権力者たちに翻弄され自分の人生でありながら、運命の主導権はつねに自分の手にはない、というパターンが多いのです。
これは、世界の歴史的な背景を振り返ってみると至極、納得でき得るパターンとも言えます。
日本を含めて世界の長い歴史の中では、常に主導権は男性側にあり、女性や子供たちは常にその決定の中に生きることを余儀なくされてきました。
長い長い間、女性は男性の所有物であり続けたのです。そして常に世界中には侵略という行為がつきまとい続けたという背景を鑑みると、前世での彼女の人格が女性であった時におのずとそのような性質、生き方になるというのは当然とも言えるのではないでしょうか。
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0139.初めての女性像
しかし今回のキャロラインという女性は、今までの彼女の前世の女性像とはまったく違うタイプの女性のようです。
私はその部分にとても興味を持ちました。
「キャロラインについて何でもわかったことがあったら、話してみてください」
「キャロラインはお母さんから教わった刺繍も得意ですが、それ以上に乗馬が得意です。馬に乗って領地内を駆け回るのが好きです。
それから何かしたい、自分には何かしなければならないことがある、と感じています。自分の意見を少女ながらはっきりと持っています。
すでに価値観やアイデンティティが確立されているのです。経営学にも興味を持っています。
現在の生活に甘んじている両親にもこのように言っています。
『何かやるべきよ!人は精一杯生きるべきだわ。今の状況に甘んじているべきではないのよ。人間の可能性は無限大なんだから!』と。
両親はとても誠実でおとなしく保守的な人柄なので、そんなキャロラインを少し困ったような、微笑ましいような気持ちで見ています。そして『キャロラインはしっかりした子だね』と言っています」
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0140.人生を転換させるきっかけ
「キャロラインは両親のことをとても愛しています。でも親には何も期待はしていません。
牧場を自分で経営してみたいと考えています。このままではだめだという気持ちが強いようです。
そして自分の人生を転換させるきっかけを探しています。キャロラインは自分ではもう大人のつもりなのです。
ずうっと幼い頃からこのように考えてきたのです。だから12歳でも、もう十分に大人のつもりなのです」
「そうですか。キャロラインは本当にしっかりとした女の子ですね。それではその後キャロラインの人生の転換期となるような出来事がある場面に進んでください」
「キャロラインは13歳です。得意である乗馬の技を磨いて、町でそれを披露してお金を稼いでいます。
観客たちはキャロラインがまだ子供なのに次々と難しい技を披露する姿に驚いています。
キャロラインは資本を作るつもりです。お金を貯めて馬を増やそうとしてます。いい馬をつくろうとしています」
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0141.新たな旅立ち
「いい馬をつくって売ろうとしているのですか?」
「いいえ。馬付きで自分を売ろうとしているのです。
14歳になった時に、町にやって来た曲芸などをするジプシーのような一団に自分の芸を見せて、『こんないい馬と、そのいい馬でこんなすごい芸ができる私がいるけど、買わないか?』と交渉しています。
そんな風にもちかけたキャロラインに対して、一団の中でも一番えらい人が『買わないけど、仲間に入れてあげるよ』と言いました。
キャロラインは、少しも考えず、仲間に入れてもらうことにしました。
いろいろなものを見たり、経験するにはちょうどいい機会だと思ったのです。それからはいろいろな土地を転々とする生活になりました」
「ご両親は反対しなかったのですか?」
「お父さんもお母さんも泣いていますが、あきらめています。小さい頃からこういう娘だたので、いつかこのような時が来ると思っていたようです。心配しながら、送り出してくれました。
キャロラインはこれから始まる新たな生活にワクワクしています。少しも不安を感じていません。ようやく第一歩が踏み出せると意気揚々としています」
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0142.たくましいキャロライン
キャロラインの性質は、あきらかに彼女の他の前世の女性である時の性質とは違っていました。
若干、13歳という幼さで自分で自分の人生を切り拓いていきます。現代の女性と比べてみても、そのたくましさは歴然としています。
そうしてキャロラインは、旅団の一員となり、1~2年後には一団の重要なメンバーとなったのです。
その後またキャロラインの人生には、転機が訪れます。
「不作や重税で市民たちの生活は圧迫されています。政策に対する不満が爆発して、農民一揆のような暴動がつぎつぎに起こっています。
キャロラインもそんな市民運動に誘われて、活動を始めました。キャロラインはひじょうにやりがいを感じています。誰かの役に立ちたいという思いが強いのです。
またキャロラインはどうしても弱者と強者の関係の理不尽さが気になるようです。
いつも弱い立場の人に目がいきます。そして虐げられることへの反発を強く持っています。
キャロラインは常にマイノリティーでいたいと思っています」
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0143.暴動を繰り返すキャロライン
キャロラインは権力や権威、上下関係というものにつねに嫌悪を感じています。
自分自身が権力を持ちたいのではなく、権力や権威という圧力から解き放たれて自由に生きたいという思いが強いようです。
このキャロラインであった前世がシャブビドゥの人生と抱き合わせの人生であるということなのでしょうか。
シャブビドゥの人生を回顧した直後に、キャロラインの人生へと移行した理由のヒントはこのへんにあるのかと私は憶測しました。
さらにキャロラインの人生を追ってみることにしました。
「その後、改革派の一員となったキャロラインはどうなりましたか?」
「キャロラインは、武装して自分の愛馬に乗り、さっそうと暴動を繰り返しています。
市民の権利を主張して、ストライキや一揆に加わっています。キャロラインは強い生きがいを感じています。
また、いつもその地域で実際に苦しめられている当人というわけではないのに自分の損得を考えず、危険を顧みず活動に取り組んでいる彼女の情熱が多くの仲間たちに伝わり、リーダーの1人として認められるようになっています」
→ 筆者 ソウルミッション・セラピスト 中野日出美の プロフィール
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0144.風変わりな男
「キャロラインは今、18歳になっています。相変わらず精力的に活動しながら生活しています。
ある時、1人の男性がキャロラインに接触しようとアプローチしてきました。
彼は貴族のようです。キャロラインたちにとっては、いわば敵側の人間です。
しかし彼は貴族としては、一風変わった人間のようです。
しかし、上流階級であり、市民たちの生活を圧迫している存在である貴族への反感が強いキャロラインは、当然ながら彼との接触を頑なに拒みます。
何度も彼からのアプローチをつっぱねているうちに、彼はキャロラインたちのアジトにまでやって来るようになりました。
彼は貴族の身分でありながら、反政府側の人間でした。立場は違いながらも、国を変えようととする志はだったのです。
彼と同じく上流階級の身分でありながら反政府運動をする人間は少なからずいたようです。
それら改革派は地下活動を中心にしており、民主主義を唱えています。「人間は自由だ! 全ての人間にもっと自由を!」というようなスローガンを掲げながら政府側の目をかすめるように巧みに運動を続けています。
彼らの活動の仕方はキャロラインたちのように武器と暴力をもって戦うという方法でなく、もっと平和的に血を流すことなく、自分たちのお金と権力を使って国を変えようとしています」
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0145.彼の目的とは?
キャロラインに近づいてきた反政府活動をしている貴族について、私はさらに質問をしています。
「彼はいったい何が目的でキャロラインに近づいているのでしょうか?」
「彼はキャロラインたちと共に協力し合うことが、活動の活性化につながると確信しています。
それが国を変えるための1番、有効な手段だと知っているのです。しかし暴動を起こしているキャロラインたちのような庶民には、知識と教養がありません。
しかし、キャロラインにはそれなりの知識と教養と共に、リーダーとしての勇気や決断力、そしてなによりも庶民たちからの大きな信頼があったのです。
以前からキャロラインのことを興味深く観察していた彼は、キャロラインに自分たちのグループと庶民たちのパイプ役を、させようとしていたのです。
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0146.ステファンとキャロライン
また彼は、キャロラインを通して庶民たちの生活や考え方を知りたいとも考えていたようです。
しかし、もともと権力に対して拒絶反応を持っているキャロラインは、頑として彼を受け容れようとはしません。
そんなキャロラインに対して彼は説得を試みます。
「彼の名前はステファンです。ステファンはこう言っています。
『お前は何か勘違いをしている。貴族だという身分だけで全ての上層階級の人間がみな、偉そうにしているように見えているのかもしれないが、お前は本質が見えていない。階級や身分に振り回されているのはお前だ。
お前のやりたいことは、訳のわからない奴らと暴れまわることなのか? それならば駄々をこねている子どもと同じだ』と。
それを聞いてキャロラインは頭にきています。
『あなたとは最初から人生が違うのよ! あなたのような人には庶民の生活や心がわかるはずもない、放っておいてちょうだい!』と言い放っています」
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0147.キャロラインの変化
ある日、いつまでも自分を変えようとしないキャロラインを連れ出すことにステファンは成功しました。
そして地下のある場所に連れて行き、自分たちのグループの秘密の会議が行われている隣の部屋に招き入れました。
その部屋からこっそりとその秘密の会議の一部始終を覗き見させてくれたのです。
「キャロラインはそこで衝撃を受けました。彼らの新しい考え方に大いに刺激されました。力づくで政策を変えることが最善とは限らないということに気づいたのです。
今まで自分とは違う人種だと思っていた人たちに対する偏見も少し和らぎました。
それを機にキャロラインは庶民と反政府側の地下組織のパイプ役となりました」
キャロラインの人生が、また大きく転換しそうなエネルギーを感じた私は、さらに時間を進ませてみることにしました。
「では、キャロラインさんの人生での重要な場面へと進んでください」と言って数をカウントしました。
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0148.2人のその後
「・・・キャロラインは今、35歳になっています。
大きな屋敷に住んでいます。結婚しています。あの時から同志になり共に活動を続けてきたステファンと結婚して、今も活動を続けています」
「そうですか。ステファンについてもっと詳しく教えてください」
「・・・ステファンの髪の色は黒です。真面目で誠実な人柄です。民主主義を訴え、若い頃からずっと活動を続けています。
貴族の出身ですが、その生活は堅実で派手なことを好みません。彼は、まっすぐで自分の意見をはっきりと持っているキャロラインに初めから惹かれていました。
キャロラインも活動を共にするようになって、ステファンの人間性に惹かれるようになりました。
2人は同じ使命を持つ同志として、またお互いに自分には持ち得ない能力を補い合える最高のパートナーとして結ばれました。
ステファンが持つ冷静さと合理性は、キャロラインには、足りない部分でした。
またキャロラインのたくましさと純粋さは、ステファンにとって新鮮な魅力でした」
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0149.幸せな結婚生活
ステファンとキャロラインは、お互いに深い愛と信頼の下、幸せな結婚生活を営んでいるようです。
「では、キャロラインはとても充実した幸せな生活を送っているのですね。2人の間にはお子さんはいるのですか?」
「はい。子供は3人います。男の子が2人と女の子が1人です。
・・・ああ、ここはアメリカです。開拓史の時代です。
どんどん新しい力で開拓されています・・・キャロラインの体にはしっかりと筋肉がついています。
使用人もいて、暮らしは裕福ですが、庭の手入れも自分の畑仕事もなんでも使用人たちと一緒にやっています。
相変わらずキャロラインは上下関係や権力というものが嫌いなようです。
真っ黒に日焼けしてとても健康そうです。キャロラインは、風に吹かれるのが好きなのだと言っています。風を感じることが好きなのだそうです。
子供たちにも自然と触れ合いながら暮らさせたいと思っています。
夫と子供を愛して、民主主義の活動も続けています。とてもキャロラインの人生は充実しています」
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0150.前世への導入部の意味
このキャロラインの前世は、彼女が丘の上で風に吹かれている場面から始まりました。
その場面の意味が後になってわかりました。
キャロラインは自然を愛し、風に吹かれる感覚を好んでいた女性だったのです。
このように前世に入ったばかりではわからなかったことが、後にその前世を探っていくにつれて、明らかになることはとても多いのです。
ヒプノセラピストはもちろんのこと、クライアントさん自身でさえ、その時点ではわからなかった事柄や背景が前世を追っていくにつれてどんどん明確になっていくのは、とても面白いことであり、興味深いことです。
潜在意識の偉大さに改めて驚かされる瞬間でもあります。
ここまでのセッションの段階では、前回のシャブビドゥ君の人生と比べて、豊かで充実した人生を送っているキャロラインの人生に私は安堵していました。
そして、この後キャロラインの人生に大きな悲劇が待ち受けていようとは思いもしませんでした。
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0151.突然の悲劇
「では、キャロラインのその生活で見なくてはならない場面があったらそこに行ってください」
私が時を進めるためのサインを送った後、すぐ彼女の顔色は変わりました。
「何人かの農民が屋敷に攻め入って来ました・・・
何故?・・・
鍬のようなもので、子供たちは殴り殺されました・・・
何故?・・・
夫も・・・ステファンも子供を守ろうとして殺されました・・・
屋敷には火がつけられて、燃やされました・・・
私も最後に夫や子供たちと同様に殺されました・・・」
「・・・いったいそれは、どうしてですか?」
突然の事件に私は、あ然としながら質問しました。
「・・・私もステファンも人生を民主主義運動に捧げてきました。しかし農民たちは、見た目だけで私たちを判断したのです。
古いとはいえ、大きな屋敷で暮らしている私たちの外見だけを見て、私たちを敵とみなしました・・・
私は殴られながら、『どうして・・・?』と思いながら死んでいきました・・・」
彼女はもう「キャロラインは・・・」とは言いませんでした。
「私は・・・」と話してくれました。
彼女が完全にキャロラインの肉体と心に一体化して、この事件を体験したことがわかります。
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0152.子供たちがあまりにも不憫です
さらにキャロラインと一体化した彼女の告白は続きます。
「私は、死んでいく時、まったく何がなんだかわかりませんでした。非常に農民たちを憎らしく思いました。私も夫も、財産も時間も肉体も農民たちのために捧げて運動に尽くしてきたのに・・・
何故、私たちの大切な子供たちまであんなひどい仕打ちを受けなければならないのか?
私たちがしてきたことは何だったのか?
何の罪もない子供たちがあまりにも不憫です・・・
ひどい・・・」
彼女の声も表情も怒りと哀しみに満ちていました。
「私たちの子供たちは・・・3人ともとてもいい子でした。上の男の子は、ステファンによく似て賢く、優しい穏やかな性格の子でした。
次男は、やんちゃで明るい性格で、私の髪の色を受け継いだ正義感の強い子でした・・・
一人娘は、おとなしい人見知りする性格の私の父によく似た顔立ちの女の子でした・・・かわいそうに・・・」
悲嘆にくれる彼女を私は、いつものように中間世へと導きました。
3人の子供たちの死にショックを受けている彼女は、いつものようにすんなりとは肉体を離れる決心がつかないようでした。
「中間世でお子さんたちが待っていますよ」という私の言葉にようやく決心をかためて、キャロラインの肉体から抜け出し、中間世へと上がっていったのです。
彼女にしては珍しいことです。
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0153.中間世での気づき
中間世でいつものように落ち着きを取り戻した彼女は、いつものように彼女の高次の存在たち、つまり元道たちからたくさんのメッセージを受けました。
「みんな拍手で迎えてくれています・・・よく頑張ってきたね、すごくよくやったね。
わかったでしょ、人にはそれぞれの立場、言い分があって、いろいろな人がさまざまなことを考えていて、庶民だから頑張っているとか、貴族だから楽をしているとかそんな偏見を持ってはいけないということが。
理不尽さや偏見は、常に上の立場から下の立場へと与えられるものではないんだよ。と教えてくれています。
私は前のシャブビドゥの人生で、権力に対する反発を根強く自分の魂に植えつけました。
今回のキャロラインの人生はその裏返しでした。
この人生は、上の立場と下の立場の、両方の立場を学ぶための人生でした。
下の立場のためにわが身を尽くしたつもりでも、大きな屋敷に住んで、豊かな暮らしをしているように見られれば、そこに貧しい者や弱い立場からの誤解や反発は必ず生じるものです。
人間は見た目や、生まれた場所、境遇などで判断してはいけない。
見えるものだけで判断することが、争いの種となるのだから。
それが常に戦争の原因となっている。
分かり合うことが何よりも大切なのだよ。
お互いの立場を理解することが何よりも大切なこと。
その人が所属するカテゴリーで、その人自身をまとめて判断したり、見てはいけない。
それは木を見て森を見ず、の逆で森だけを見て木を見ていないということだ。
誰かに何かされた時、傷つけられた時、個人的な恨みは所属している団体へと向かう。それが戦争の大きな原因となっている。
これは人間全体の乗り越えるべき問題なのだ。
・・・今、キャロラインから私への最後のメッセージが送られてきました。
『わかったでしょ? 人をきめつけで判断しないで』と言っています」
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0154.抱き合わせの2つの前世
シャブビドゥとキャロラインの2つの前世はこのように抱き合わせになっていたのです。
彼ら2人の人生を立て続けに思い出させた彼女の潜在意識には、このようにちゃんとした意図があったことがわかりました。
シャブビドゥの人生を終えてすぐ、キャロラインの人生へと入っていったあの時点では、私も彼女もまったく予期できなかった結果となりました。
この前世セッションを受けた当時の彼女は、常に学年でトップクラスの成績を収め、美術や音楽、読書コンクールなどでも優秀な成績を残し、生徒会活動の中心人物であり、担任の教師だけではなく校長や教頭先生などからも一目おかれる存在でした。
にも関わらず、彼女は教師や部活動の先輩、また大人という自分から見て目上の存在自体に嫌悪感と不信感をいつも抱いていました。
また、権威だとか権力、差別、上下関係などという言葉とその意味に非常に敏感に反応していました。
実際、大人であり、セラピストである私に対しても、少女でありながら、しっかりとしたある一定の境界線を保ち、毅然とした態度で接し続けていました。
このセッションで、彼女が目上の者や権力を持った者に対して、いつもこのような壁を築いている原因の一端が見えたような気がしました。
そこで、この前世療法のセッションの後、自分を守るための心の壁について、メタファーを使って彼女の潜在意識に働きかけました。
メタファー(隠喩)とは、おとぎ話や逸話、民話などを使って潜在意識に間接的に話しかける方法の1つです。
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0155.メタファー
この時、私が使ったメタファーをご紹介してましょう。
これは、セッションの合間のおしゃべりのような形を利用したものです。
「今ね、うちの犬たちがどんどん大きくなってしまって、うちの塀の上から顔を出せるようになったの。
それでうちの犬たちは、塀の外を歩く人を見ると吠え掛かるものだから、気が気でなくてね・・・思い切って塀をもっと高くしようかなと考えたりもしているの。
そうすれば、犬たちも塀の外を誰かよその人が通っても吠えないだろうから迷惑をかけなくてすむし、塀の外から犬を怖がらせる子供たちからも犬たちを守ることができるんじゃないかなあって・・・
でも犬たちにしてみると塀の外を背伸びして覗くというのは、とても楽しいことなんだよね。自分はちゃんと安全な場所にいて、そこからいろいろな世界を知ることができるんだからね。
そんなことをいろいろ考えているうちにね、こんなことを思ったの。
ああ、もしもこの塀が自由自在に形を変えることができたらいいのになあって。
もしそうできたら、その時に応じて塀を高くしたり、低くしたりできるでしょう?
そうして、その塀の素材も石とかブロックや垣根じゃなくて、何か特別な素材・・・そうまるでゼリーのような、それも特殊な素材でできたゼリーのような素材で出来ていたら、もっといいんじゃないかって・・・
その特殊なゼリーは、とっても変わった素材でできているから、どんな物からも守ってくれるの。どんな物も通さない特別なとても頑丈な素材。
でもゼリーだから好きな形に変えることができるんだよね。
大きさも、高さも厚さも自由自在。
犬たちのことが心配で、危険なことから守りたいと思った時には、ゼリーをうんと高く、厚くして誰も入って来られないようにできるし、外からは犬たちの姿も見えない、声も聞こえないように出来るの。
そして今なら安全だなあとか、この人なら会わせても大丈夫だなあと思う時には、ゼリーを低くして、もっと薄くして外界との距離を縮ませることができるんだよね・・・
そんなふうに必要に応じて自由自在に姿を変えるゼリーのような塀があったらなあって・・・」
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