0352.ひ弱で役立たずな私

みんなとは違っても、私はあくまでもジャングルの中のそのテリトリーの仲間であるという意識は変わらなかったのです。

そして、赤ん坊の時分からそこで育った私を、自然のことのようにテリトリーの動物たちも受け容れてくれていました。

私は、他の動物と同様に、その場で生きていくために必要な能力と、そして存在意義を強く求めていました。

私は他の動物と比べて、成長するのに莫大な時間がかかりました。そして、いつまで経ってもひ弱で、役立たずな存在でした。

人間の年齢にして幼児には達していた私は、なんとか他の動物たちのように独り立ちしたいと強く思っていました。

そして出来ることならば、雌熊を今度は自分が守りたいと思っていました。

でも、当時の私に出来ることはあまりにも少なかったのです。

これらのことを私は心の中で言語化していたわけではありません。

そのときの私には人間の言語はありませんでしたので、感じていたという方が正しいのかもしれません。

そんな私にある日、大きな転機が訪れます。



→ 筆者 グリーフケア・セラピスト 中野日出美の プロフィール

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