前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘 (PHP文庫)
この本は1988年に出版され、日本でも1996年に『前世療法』として翻訳され、出版されました。
当時、ワイス博士は、アメリカで医学博士として、既にさまざまな実績を残していました。また、科学者としても医者としても高い評価を受けていた精神医学博士でした。
しかし、催眠療法を患者であるキャサリンという女性に施しているうちに、彼女が自分の前世に戻ってしまうという予想もしなかった事態に遭遇し、ワイス博士の人生が大きく変化してしまった経験を綴った本です。
キャサリンは、いくつもの前世を催眠中に訪れます。そこでキャサリンが語ったことは、輪廻転生とか、死後の世界や霊の存在などにさしたる興味も持たない、現存主義のエリートである1人の科学者にとって、科学とは対極にある受け入れがたいものでした。
その彼が、生まれ変わりや精神世界について、語っているところが、それまでの常識をくつがえすほどの大きな説得力となっています。
ワイス博士自身も現に、この体験を発表するまでには4年間の歳月を必要としたと述べています。彼にとっても、この決断は大いなる勇気が必要なものだったです。
当時のアメリカでは、生まれ変わりや死後の世界に対する認知は、まだ低かったのです。それを科学者の立場から、発表するということは、自分のそれまでに築いてきた社会的立場や信用までも失う怖れもあったといえます。
しかし、ワイス博士は自分が体験した、科学を超えた大きな法則を世に発表したのです。この本は、発売以来、全米で大ベストセラーとなり、たくさんの人に大きな影響を与えました。
私にとっても、この『前世療法』は、ヒプノセラピーのバイブルともいうべき一冊です。
また、前世療法を手がけるヒプノセラピストの一人として、ワイス博士にとってのキャサリンのようなクライアントにめぐり合えたことに深く感謝しています。