転生した子どもたち―ヴァージニア大学・40年の「前世」研究
ジム・B. タッカー著 (日本教文社刊)
著者であるジム・B・タッカーは生まれ変わりの事例研究の第一人者であるヴァージニア大学人格研究室のイアン・スティーヴンソン教授のもとで研究を重ねた児童精神科医です。
そして、現在ではイアン・スティーヴンソン教授の後継者として、
アメリカの事例を中心に調査を行っています。
イアン・スティーヴンソン教授の『前世を記憶する子どもたち』は前世の記憶を持つ子どもたちの調査を専門家としての視点から客観的に検証したものです。
イアン・スティーヴンソン教授がとりあげたその2000を超す事例はすべて、前世の記憶を持つ子どもたちの証言をもとに検証をしたものです。
とりあげられた事例は子どもの証言の信憑性を一定のフィルターにかけ、厳選されたものばかりです。
例えば、教授がその前世の記憶をもつというこどもと面談する前に、前世の人格の家族とすでに再会していた場合などはすでに汚染された証言として、事例としては取り扱われてはいません。
そのような一定の厳しい規定のもとの研究をこの著者であるジムも引き継いでいます。
また、イアン・スティーヴンソンの著作が学術書であり、一般の読者には少々読みにくい内容であるのにたいして、この『転生した子どもたち』は一般読者の視線に立って、噛み砕いて説明してあるのが大きな特徴です。
さらにこれまであまり公開されてこなかったアメリカの子どもの事例をたくさん紹介している点や、前世で死亡してから次に生まれるまでの記憶についても取り上げられているので前世療法を手がけるヒプノセラピストとしても参考になる本といえます。
私としてもイアン・スティーヴンソンが長年、精魂を傾けて取り組んできた生まれ変わりの真理を引き継いでくれる学者がいるということはたいへん心強いことです。
オカルト的に扱われがちな生まれ変わりとか前世というテーマを科学的な立場と精神的な立場の両面から研究していくということは現代社会に生きる私たちにとっても、大きな意味を提示してくれる先鞭となるでしょう。
ヒプノセラピーに関係なく生まれ変わりや前世に興味がある方にはぜひ、お読みいただきたい1冊です。