よいヒプノセラピストとダメなヒプノセラピスト

【心理職の国家資格 公認心理師の中野日出美が解説】

ヒプノセラピーにまだあまり馴染みがない方にとっては、どんなヒプノセラピストが自分に向いているのかは、なかなかわかりにくいかもしれません。

そこで、多くのヒプノセラピストたちと関わってきた経験をもとに、ヒプノセラピストを選ぶ基準を「よいヒプノセラピストとダメなヒプノセラピスト」という形でまとめました。

欧米にくらべて、まだまだ認知度の低いヒプノセラピー(催眠療法)ではありますが、その有効性の高さは確実に多岐にわたって浸透しつつあります。それと比例してヒプノセラピストの数も増加しています。

しかし、百人の医者がそれぞれ力量や専門分野が違うように、ヒプノセラピストもそれぞれ力量や得意分野が違うものです。

クライアントさんには、セッションを受けた後、セラピーを受けた意義をしっかりと感じて、セッションルームを後にして欲しいものです。それにはまずどんなセラピストを選ぶかが大切です。

また、これからヒプノセラピストを目指す方には、こんなヒプノセラピストになってていただきたいという願いも込めました。あなたのご参考になれば幸いです。

ダメなヒプノセラピストとは・・・

ヒプノセラピストとして必要な催眠の知識をもっていない

催眠というものをセラピスト自身がしっかりと理解できていないままセッションをしているケースもみられます。オリジナルの手法を使えるようになるまでには、たくさんの勉強と経験が必要です。

ヒプノセラピストとしての領域を逸脱した行為をしてしまう

ヒプノセラピーは医療行為ではありません。それにもかかわらず、ヒプノセラピストが医療行為に関わる領域に踏み込んでしまうことは、たいへん危険です。

ヒプノセラピーを人生相談や占いと勘違いしている

ヒプノセラピーはあくまで催眠をつかってクライアントさんの問題の改善をはかるものです。セッション全体が人生相談の域を出ずに終わってしまったり、占いのような当たるも八卦、当たらぬも八卦のようなものでお茶を濁してはいけません。

威圧的なヒプノセラピスト

セラピストがクライアンさんに対して上からの目線でしか接することができず、つい威圧的な振る舞いや話し口調になってしまっては、クライアントさんは不安になってしまいます。そもそも一番大切なラポールがとれません。

自分の価値観でしか考えられないヒプノセラピスト

人にはそれぞれの考え方や価値観があります。つまり人はそれぞれ自分の物差しをもっているのです。そのどれもが良いとか悪いとか判断できるものではないことの方が圧倒的に多いものです。

誰も良し悪しの判断を下させる権利をもたない問題が人生ではほとんどなのです。ヒプノセラピストとして、いつもそれを肝に銘じニュートラルな状態で、セッションに向かわなければいけません。

自分の力を過信してしまうヒプノセラピスト

ヒプノセラピストとして、もう学ぶことがなくなるという状態はありえないことです。経験を積めば、積むほど学ぶことの必要性がわかってくるからです。

自分の力を過信し、自分の力量以上のクライアントさんの問題をいつまでもずるずると引っ張り続けることは、クライアントさんにとって失礼であるばかりか、危険な状態を引き起こす可能性があります。自分の力量を認識し、いつでも自分以外の信頼できるヒプノセラピストに任せる覚悟と余裕を持つことが大切です。

ヒプノセラピストとしてクライアントさんの潜在意識とつながる重みを理解していない

潜在意識にアクセスし、語りかけることは簡単なようで、細心の注意が必要なことであるということを理解せずにセラピーをしてしまうと逆トラウマになってしまう可能性もあります。

充分な経験をもたずに開業しているヒプノセラピスト

わずか数日間という講習を受けただけで開業してしまうヒプノセラピストもいます。
その前に充分な経験や実習がなく、自分自身もプロのヒプノセラピストからのセラピーは受けた経験がないというヒプノセラピストもいます。それではクライアントさんの気持ちを理解するのも難しいでしょう・・・・

クライアントさんからのネガティブなエネルギーを取り込んでしまうヒプノセラピスト

クライアントさんはさまざまな悩みを抱えてやってきます。ヒプノセラピストとして確固たる自信と責任とエネルギーを確立していなければ、ヒプノセラピスト自身がネガティブなエネルギーに巻き込まれてしまいます。

自分自身がまだ癒されていないヒプノセラピスト

自分自身の心がまだ癒されていない状態ではクライアントさんの心を癒すことはできません。しっかりと自分自身を癒して、心をたくさんの愛で満たした状態でクライアントさんを迎えたいものです。

よいセラピストとは・・・

ヒプノセラピストとして必要な知識と資格をもっている

クライアントさんの抱える問題に対峙するためには催眠についての知識と信頼できる資格をもっていることが必要です。

ヒプノセラピストとしての領域を守ることができる

ヒプノセラピーが非医療行為であることを認識したうえで、催眠をセラピーに最大限に活用できなければいけません

クライアントさんと同じ目線で問題に取り組めるヒプノセラピスト

一人の人間としてクライアントさんと常に同じ目線で問題に取り組める感覚を忘れないことがヒプノセラピストとしては大切です。

個人的な価値観を押し付けないヒプノセラピスト

ヒプノセラピーは人生相談ではありません。個人的なものさしでクライアントさんにお説教をしたり、洗脳じみたことをせず、あくまで答えはクライアントさんが持っているのだということを忘れないヒプノセラピストであるべきです。

自分の力量を知っているヒプノセラピスト

よいセラピストは自分の現在における力量を認識しています。自分の力量を超える問題であると判断したときには、自分よりその問題にふさわしいヒプノセラピストや専門家を紹介できるようなシステムをつくっているヒプノセラピストは信用できるでしょう。

クライアントさんの潜在意識とつながるという重みを理解しているヒプノセラピスト

よいヒプノセラピストはヒプノセラピストとしてクライアントさんの潜在意識にアクセスさせていただくということの重みと責任を充分に認識しています。このようなヒプノセラピストは、催眠の知識も、人間としての常識も持ち合わせていると言えるでしょう。

充分な経験や実習を経ているヒプノセラピスト

よいヒプノセラピストは充分な経験や実習の必要性を認識し、クライアントさんとのセッションに臨んでいるものです。

自分自身がすっかり癒されているヒプノセラピスト

よいヒプノセラピストは自分自身の問題が癒され、過去の自分が抱えていた問題から何かを得ています。そうして初めてクライアントさんの問題に取り組めるものです。

セッションで受けたネガティブなエネルギーを引きずらないヒプノセラピスト

自分をしっかりともち、自分の境界線を保てるヒプノセラピストは、クライアントさんから受けたネガティブなエネルギーを自分の生活に持ち込みません。

クライアントさんの心にそっと寄り添うことができるヒプノセラピスト

人の心にそっと寄り添うことができるヒプノセラピストであることが、なによりもヒプノセラピストとしての第一条件だと思います。

そのためには、共感力や人間としての包容力を身につけられるよう日々努力しているヒプノセラピストが本当の意味で一番よいヒプノセラピストであると言えるでしょう。


続いて、失敗しないヒプノセラピースクールの選び方 5つのポイント をご紹介します。

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