「あなたは人間ですから、残念ながら強い牙も爪もありません。
でも、思考がありますよ。
どうですか? その思考を使って、もう一度あの地上に戻ってみませんか? そしてあなたがやりたいことをやってみてはどうですか?」
思考?・・・・
「そう。思考です。言葉です。人間が中途半端に持っている思考。それを使って動物たちに出来ることがあるのではないですか?」
出来る? 私に?
でも、もし出来たら、恩返しが出来る・・・人間であったからこそ、迷惑をかけてしまった動物たち、メス熊に。
今度は人間の武器を使って、人間の立場を使って、何か出来る・・・
「そう。そうかもしれませんよ。まずはゆっくりお休みなさい。その後は、ここであなたの役割を果たしなさい。
あなたのここでの役割は、小さくして亡くなった生き物や、恐ろしい思いをして亡くなった生き物たちの世話係です。その仕事に戻りなさい。
そして、また地上に行っていらっしゃい」
そう言って、その生き物は消えていきました。
そこで私は催眠から覚醒したのです。