初めて彼女が前世療法を体験したのは、中学生のときでした。
その年齢で催眠療法を受けること自体が異例のことといえるでしょう。しかし、彼女自身が、催眠療法が安全であるということを確信していたので、お互いにリラックスした雰囲気でセッションは、始まりました。
性格は、真面目で学校の成績もトップクラスです。生徒会では副会長を務めるなどして、教師達や友人からも信頼され、家族関係もさしたる問題はないとのことでした。
陶器のような肌をもつ、美しい女の子で、はた目には何のコンプレックスも悩みも持ち合わせていないようにみえます。
しかし、彼女は物心がつく頃からいくつかの恐怖症に悩んでいました。そのひとつが、1人になることを異常に怖がるということでした。
幼少の頃の母親との関係もおおむね良好で、生まれた翌日から添い寝で育てられています。また、母親が専業主婦であり、学校から帰宅して留守番する頻度も少ないようです。
でも、とにかく彼女にとっては、昼間であろうと夜であろうと家の中で1人っきりになるということが、恐ろしくてたまらないようなのです。