「私は5歳です。お父さんがどんどん遠ざかっていきます。
・・・お父さんは帰ってこなくなりました。
お父さんは政府の官僚のような仕事をしていたようです。殺されたのです。政略的に邪魔だったので殺されたのです。派閥争いです。
私はお父さんもお母さんも大好きでした。
お父さんは私のことをいつもきくの上と呼んでいました。でも本当の名前ではありません。
私の本当の名前はたぶん、きく・・か、きくのという名前だと思います。お父さんは一人娘の私をとても可愛がっていて、ふざけて、きくの上とお姫様のように呼んでいたのです。
とても私は幸せでした。こじんまりとした家でしたが何不自由なく暮らしていたと思います」
「お父様が亡くなってからはきくさんの生活は変わりましたか?」
「・・・お母さんの弟、私の叔父がこの家の後継人となりました。
そしてお母さんは尼さん?のようになりました。・・・在家出家というものらしいです。
剃髪して・・・お母さんの長かった髪は肩くらいに切られました」