私たちのテリトリーには、小さな川のような水場がありました。その水場を中心として、私たち動物は、それぞれ塒を持っていました。
毎日、動物たちはその水場にやって来ます。水を飲んだり、水浴びをしたり、食べ物を確保したりするためです。
私と雌熊も毎日、水場で水を飲んだり、食べ物を捕ったりしていました。
同じテリトリーの動物たちは、水場で出くわしてもお互いそれぞれの小さなパーソナルスペースを尊重しました。それは暗黙の了解のようなものでした。
いろいろな種類の動物たちが共存していました。
当然、私も同じテリトリーの動物たちのことを知っていましたし、彼らも私のことを知っていました。
鳥やリス、ウサギのような形をした小動物たちの中には、私のそばに自ら寄ってくるものをいました。
また鹿のような草食動物たちの中にも、私と同じように仲間と比べて体が小さくひ弱なものもいました。
それらの動物たちとは、種類も違いましたが自然とお互い目と目や、ボディランゲージで分かり合えていました。
その関係性は、今回の人生での動物との間にあるようなどちらかが面倒をみるという偏ったものではなく、つねに対等なものでした。
ですから、どちらかが食べ物を与えるとか、かわいがるとか、そういったものではなく、お互いにお互いの存在を知っていて、それを決して脅かすことなく何か危険があれば知らせあうような関係でした。
しかし、数匹の小動物たちとは、体をすり合わせたり、匂いを嗅ぎ合ったり、追いかけっこのようなことをしたりするふれあいもありました。