それから数日後のことです。隣のテリトリーの獰猛な肉食動物たちがこぞって私たちのテリトリーに侵入して来ました。
彼らは本来群れで生活する種族ではないのですが、その頭数は驚くほど多かったのです。
それは、私たちのテリトリーにいる肉食動物たちの数よりも、彼らの頭数の方が多くなっていることが、一目でわかるほどでした。
私のテリトリーの生き物たちは、彼らの気配を察してみな奥へと逃げ込みました。
しかし、彼らはゆっくりと静かに出来るだけ気配を消しながら、少しずつ獲物のそばへと近づいていました。
私は、私の家族であるメス熊と一緒に、洞穴で身を潜めていました。
稀に人間たちが近づいてくる時に感じるあの嫌な匂いや気配よりも、何倍も大きい危険な空気が、私たちのテリトリーに漂い始めました。
どれくらいそんな時間を過ごしたのでしょうか。
永遠とも思えるほど長く重苦しい時が過ぎていこうとしていた時、私の耳に「ひゅーん」という鹿のような草食動物の子どもの鳴き声が飛び込んできました。