鳴き声は、高くか細く、声にならないほど小さいものでしたが、私には、それがいつも私に近寄ってきては鼻を摺り寄せてくるあの小さなバンビだとわかりました。
その声を聞いた私は、一瞬にして立ち上がり、洞穴から飛び出ました。
そして一目散にその声の方へと走り出しました。
まるで私は何かに憑りつかれてでもいるかのように、ただその声を目指して走りました。
そしてたどり着いた先には、何匹かの獰猛な敵に首を食いちぎられ、むさぼられ始めているあのバンビがいました。
私は、その光景を見た次の瞬間、その獰猛な敵の饗宴のさ中へと飛び込んでいきました。
私の頭は真っ白でした。
もう何も考えることは出来ませんでした。
私は鼻にしわを寄せ、歯を食いしばるように見せながら、敵の中へと突っ込んでいきました。