私はそうしているうちに、ふっと体の力が抜けていきました。
私は自分が隣のテリトリーの獰猛な動物に殺されたことを、悲しがってはいませんでした。しかし、メス熊を悲しませたことは悔やんでいました。
でも、これでメス熊も悲しむ必要がないことがわかりました。
なぜなら、私は苦しんでいないし、メス熊ももうすぐこちらにやって来ることがわかったのですから・・・
メス熊がこちらに来たら、すぐ私は彼女のそばに行ってやろうと思いました。
そして、いつものように彼女に擦り寄って、匂いをかいで、そして彼女の背中を掻いてやろうと思いました。
私はこの安全で穏やかな世界にすぐ溶け込み、体も心も癒されました。
どれくらいそうしていたのかわかりませんが、ある時、動物たちとは違う形態の生き物が私のそばにやって来ました。
それは、私と同じように二本足で歩く生き物です。
私は初め、ジャングルの中で時々見かけたあの人間たちと同じ形をしたその生き物を敵なのかと警戒して、身を引きました。
私がその生き物から一定の距離をとって見つめていると、それ以上、その生き物は近寄って来ようとはせず、ただあの鹿と同じようにじいっと私を見つめました。
すると、不思議な鳴き声で、その生き物は私に話しかけました。