鹿は、私の目をじいっと見つめました。私は思わず、その鹿が生きていたのかと思い、手をさし延ばしました。
すると鹿は、私のその手を優しく舐めました。
私はなんだか、どうしようもない気持ちになりました。
今まで感じたことのない、切ないような哀しいような、でも温かい不思議な気持ちでした。
人間の言語を知らない私は、その鹿に掛ける言葉もなく、ただ片方の手を鹿に舐めさせて、そしてもう片方の手で鹿の額を撫で付けました。
私と鹿はお互いにこうして再会できたことを喜び合っていました。
そしてお互いに、もう今苦しんでいないことを確認し合い、1つの人生を終えたことを称え合っていました。
すると、次から次へと地上で関わった生き物たちが現れて、鹿と同じように私を舐めたり、摺りよってきたり、ただ私の匂いをかいだり、私を見つめたりしました。
私も彼らと同じように、彼らの匂いをかいだり、撫でたり、舐めてみたりしました。
彼らも鹿と同じく、私と再会できたことを喜び、今、苦しくないことを私に伝え、私も今は苦しんでないことを喜んでいました。