「今、どこにいるのですか?」という私の問いに、
「穴の中です。・・・いえ、洞窟の中です。真っ暗です。とても、ジメジメした場所です。私の他にもたくさん人がいます」
彼女は緊張した面持ちで話し出しました。しかし、今度は怖がらず、冷静にその前世を追体験しているようです。
口調は穏やかで、そして、ささやくように小さな声で私の質問に答えていきます。
「私は女の子です。年齢は、12歳です。髪の色は明るい茶色だと思います。周りには病気の人もたくさんいます。息絶え絶えの人も何人かいます。
洞窟の中の人たちはみな、老人か子供か女性ばかりです。この洞窟には、出入り口などはありません。密閉されているようです。そして、真っ暗です。
私は喉がカラカラでもう死にそうです。もうだめだと思います。」
彼女の顔は苦痛にゆがんでいました。まぶたはぴくぴくと痙攣し、あちらこちらを見回しているようです。
「どうして、その洞窟にいるのですか?」との質問に
「閉じ込められたからです。他の部落の人たちが私たちの部落に攻めてきて、私たちをここに閉じ込めたからです。弟も一緒です。私は、弟を守りたい。でも、もう弟の唇はカラカラに渇いて死んでしまいました。」