「お母さんは、いつも、疲れた顔でいいます。
『お前のせいで、私は人生を棒にふってしまった。
本当ならばまだ、私は若いのだからいくらでも好きなことできるはず。お父さんだって、お前がいなければ、私を大事にしてくれたはずなのだ。私は間違えた。お前を生まなければよかった』
と毎日、毎日いいます。僕は、何といっていいのかわかりません」
彼女は辛そうに、顔をゆがめながらボツボツと話します。普段の彼女は、どちらかというと、はきはきとした話し方をする女の子です。
しかし、この前世でのヤコブさんが、内向的で、人づきあいを好まない閉鎖的な性格だったため、前世療法中の彼女はこのような口ぶりになっていたようです。
催眠から目覚めた後、彼女は「ヤコブが口下手なうえに、あまり感情の起伏がない人だったようで、困りました」といいました。
まるで、その当時に生きた自分自身の通訳の役割をしているようです。