前世療法では、その人生での始まりから終わりまでをみるということが可能です。時としては、自分を殺した人間の心を知ることもあります。
また、反対に自分が誰かを殺したり、傷つけたりした場合、その相手の心に入り込んで、その時の感情をくみ取るという作業をする場合もあります。
この時の彼女はヤコブさんの母親の心を今生の自分の視線から冷静に読み取っていたようです。
「母は、まだ、本当に若いうちに自分(ヤコブ)を産んだのです。ですから、まだ完全に母親となるための準備ができていなかったようです。
体もですが、特に、精神的な面で幼かったのです。母は、まだ、子供を持つにはあまりにも、自分自身が子供だったのです」
後の私の質問に彼女は、前世での自分自身であるヤコブについても、冷静に答えています。
ヤコブさんは、無口で、無骨な男性だったようです。親しい友人も恋人も持ちませんでした。
しかし、たまに寄り合いのような集まりに出かけて行くついでに、町に下りて、商売で体を売る女の人と関係を持つこともあったそうです。