「・・・町の中にいます・・・私は子どもです。目線がとても低いです・・・たくさんの人がいます。私は男の子です・・・7歳です。
・・・盗みをしようとしています・・・男の人の腰のあたり・・・ポケットのあたりばかり見ています。
お金持ちの人はすぐわかります。シルクハットを被り、時計を持っている人がお金持ちです・・・金時計です。ポケットを狙います。
・・・いつもこんな風に盗んでいます・・・」
「あなたはまだとても小さいのに、いつもこんな風に盗んでいるの?それはどうしてですか?」
前世に入ったなり、いつも盗みをしているという告白に、やや驚きながら、私は聞きました。
「わかりません・・・」
「それではあなた自身をようく観察してください。そしてわかったことは何でも教えてください」
「・・・私は少年です。帽子を被っています・・・中袖、中ズボン、ベストを着ています。古い服です。
そして身に付けている物はすべて汚いようです。
薄汚れた感じ・・・茶色の髪の毛・・・白人です。ここは商店街です。石畳です。
ロンドンのようです・・・馬車が走っています。私は盗むことにとても慣れています。男の人の腰のあたりのポケットの中の財布を狙います。
どの人がお金持ちかを観察しています。そうして近づいて行ってすっと財布を抜き取ります。私はまだ背が小さいので、ちょうど盗みやすい位置に財布があるのです」