彼女が、あまりに詳しく盗みについて説明するので、私はますます混乱してしまい、この少年の生活がよくわかる場面へと誘導しました。
ところが、彼女は私が誘導の言葉を言い終える前に、いきなりシクシクと泣き出したのです。
「・・・お母さんが・・・お母さんが・・・病気です・・・ベッドで寝ています・・・そして僕に『ごめんね、ごめんね』と言っています。
僕の名前はジェイミーです。お母さんは泣きながらいつも『ジェイミー、ごめんね』と言うのです。
町のはずれの長屋のような所に住んでいます。古く汚い家です。同じような狭い家がたくさん並んでいます。とても汚くて、そして不衛生な所です。
暗くじめじめとした寒い家でお母さんと2人で暮らしています。お父さんはいません。だいぶ前からお母さんが病気になってしまいました。
・・・だから僕が盗みをして、食べ物を買って帰ってくるのです。お母さんは僕が何をしているのか知っています。・・・でもそうしなければ食べることが出来ないので仕方ないのです・・・」
彼女は泣きながら哀しい身の上を話してくれました。そしていつも通り、彼女は自分のことを「僕」と言い出しました。