「たくさんの船が見えます。遠くから何隻もの船が近づいてきます。手漕ぎの船で、両側にいっぱい人が座って漕いでいます。どんどん近づいてきます。それを見て島の人たちは慌てています」
「侵略ですか?島には軍隊とか防衛隊のような組織はないのですか?」
「ありません。今までのんびりと暮らしていました。まったく無防備でした」
「そうですか。それではたくさんの手漕ぎの船が島に着いてどうなったのか教えてください」
私は先を促しました。彼女は1つ大きく息をついて眉間に少ししわを寄せながら話し始めました。
「私は呆然とたくさんの船がつく様子を見ています。父と母は私を慌てて探しています。船からどんどんと男たちが下りてきます。男たちはみんな鎧を身につけています。でも足と手はむき出しです・・・
ああ、布を巻いている人もいます・・・島の人たちはあわてふためいて逃げていますが、隠れる所もない狭い島ですから次々と捕まっています。殺された人もたくさんいます・・・
老人と赤ちゃんは殺されます・・・激しく抵抗した男たちも殺されました。若い人、労働力となりそうな人たちは生け捕りにされます。捕まって、手を縄でぐるぐる巻きにされて連れていかれます・・・
島全体が騒然としています。火が見えます。あちらこちらで焼き討ちにあっています。私も殺されると思っています。」
彼女はいつものように鮮明に前世での大切な場面を見て、詳細にその様子を説明してくれます。