深いトランスに入り、寝息ほどの呼吸の気配さえ感じさせない鎮まりかえった身体と、恐ろしいほどに鮮明で鋭敏になった感覚の中、彼女は話し出しました。
「・・・とても高い場所にいます・・・あれ? 私は人間ではありません・・・
鳥のようです。羽を動かしています・・・上から下の方を見てます・・・緑が見えます・・・山も道も・・・私は鳥です・・・」
今までのたくさんの前世療法セッションの中で、彼女は今回の人生と同様、人間としての一生を体験してきました。
しかし、今回は、彼女は自分のことを鳥だと言います。
前世療法を受けて、人間以外の生き物であった時の前世をみる人もいますが、彼女の場合はこれが初めてのことです。
私も少し驚きましたが、彼女自身も戸惑っている様子です。
「あなたはどんな鳥ですか?」
「・・・鳩みたいに見えます」
「そうですか・・・もっとこの人生を詳しくみる必要がありますか?」
「いいえ。もう私は死にます・・・大きな鳥に食べられます・・・」