彼女は、まるで砂けむりを避けるように、顔をしかめながら話し続けます。
「とにかくすごい砂なのです・・・私は長い服を着ています・・・黒っぽい布を頭からすっぽり被っています・・・目だけは出ていますが、体中を黒っぽい布で覆っています。
片方だけ巻きつけるマフラーのようなもので頭を覆っているのです・・・そしてその上から帽子を被っています・・・何か・・・円形の・・・半球状の紙風船の形のような・・・中華の帽子のような形です。いろいろな色が彩られた小さな帽子です・・・
私は女性です・・・とても砂が多い、土埃の町を歩いています・・・すごい風です・・・粘土でできたような低い建物が並んでいます・・・
力尽きた人々が、そこかしこに座り込んだり、寝たり・・・死んでいたりします・・・ああ、白骨化した死体もあります・・・だいぶ長いことこのような状態が続いているようです・・・」
彼女の服装を聞いて、以前、リッサとして西アジアで生きた彼女の前世を思い出した私は、
「リッサの国のような服装ですか? リッサのお母さんや、お祖母ちゃんが着ていたような?」
と尋ねましたが、彼女は「うーん、そうかな・・・すこし違うような感じです」と答えました。