リッサの生きた国は、おそらく西アジアのどこかであろうと思われます。今回もその辺りの女性なのでしょうか。
町一面を覆う砂埃の中で、飢え、息絶えている人々の中を歩いている彼女はいったいどのような女性なのでしょうか。
「あなたはお腹は空いていないのですか?」
私の質問に少し間をおいてから、彼女は答えました。
「ええ・・・私は割りと元気です。お腹も空いてはいません・・・この土地は昼間はとても暑いのですが、夜になると非常に寒く冷え込むのです・・・
今は昼間です・・・男性もいます。男性は上半身は裸です・・・片手に何かの瓶を持っています・・・通りでうずくまっています・・・まるで、ホームレスのようです・・・」
私は続けて彼女に尋ねます。
「あなたは、いったいそこで何をやっているのでしょうか?」
「・・・私は・・・礼拝堂に行きます・・・そうです・・・私は礼拝堂に行くのです・・・」
彼女はほつれていた糸が、今、ようやく解けたかのようにきっぱりとそう言いました。