ローランナの表情は少し途方にくれたように見えました。
私はローランナの時を進める時が来たことを悟りました。
時を進めた先のローランナは20歳になっていました。
「私は20歳です。今、布教活動をしています。教育レベルの低い人たちを数人ずつ集めて、お話会をしています」
「そうですか、どんなお話をしているのですか?」
「私の心に強く響いている言葉は、全体の意識を変えるべき・・・宗教的にもっと向上させたい、目覚めさせたい・・・持っている者は、より持っていない者に与えるべき・・・知識も同じです」
いつものように彼女の表情は、穏やかで、まるで血の気が失せた人のように感じられます。
「あなたは普通の人以上の教養があるのですね?」
私が質問をすると、一呼吸おいて、彼女はおもむろに答えます。
「いいえ。高い教養があるわけではありません。でも、私が知っていることを、さらに知らない人に教えることは出来ます。私は自分が持っているものを持っていない人に与えたいのです。ただそれだけです。」
「ローランナさんは、とても清い心を持っているのですね」
そう言った私に、答えたのはローランナではなく、彼女自身でした。