私は一瞬、耳を疑いました。名前を変えた? ジュリアンはそう言ったように聞こえました。
どうもこのジュリアンの前世は、今までとは、本当に勝手が違うようです。首を傾げながら、私は質問しました。
「名前を変えた・・・?」
もし、このセッションを見ていた人がいたら、セラピストである私の戸惑っている様子を見て、おかしく思ったことでしょう。
そんな私の当惑などお構いなくジュリアンは平然と答えます。
「そうです。名前を変えました。偽の名前・・・偽名を使うことにしました・・・マリアと名前を変えました。そうして没落した上流階級の娘だと身分も偽りました。
私は路地裏にずっといたおかげで、肌の色がとても白いし・・・色が白いことはここではステータスなのです。
それから、私の髪の色は金髪です。そうです、私は女として美しい容姿をしています。この自分の容姿を利用して、何とか身分の高い男の人を手玉にとろうとしています。仕事をする場所も変えました」