目が覚めたとき、私の周りにはお乳をくれた大きなメス熊と2匹の小熊がいました。
どうやらメス熊はちょうど子育て中のようです。
「ああ、この熊は少し育児ノイローゼのようです・・・」
今生の私がようやく言語化し始めました。
「この熊は、ちょうど小熊を育てている最中で・・・そう、1匹の小熊が死んでしまったようです・・・それを受け入れらずに小熊を探していたところに、お乳の匂いがする赤ん坊の私を小熊と勘違いしたのかもしれません」
貧しい夫婦に間引きされた赤ん坊の私は、1匹の小熊を失くした母熊の乳でかろうじて命をつなぎとめました。
それから他の2匹の兄弟熊と共に私は育てられました。
とはいえ、人間の子供である私は、兄弟熊に比べて成長はひじょうに遅かったのです。
2匹の兄弟熊達が成長し、子育てを終えた母熊はいなくなりました。
しかし、私はまだ赤ん坊で、とても1人では自立できるわけはありません。