その後も私が生き延びることが出来たのは、一緒に育った2匹の兄弟熊のうちの1匹の雌熊のおかげでした。
兄弟熊のうちの1匹は雄熊でしたので、成長するとすぐに自立して巣立って行きました。しかしもう1匹の雌熊は、いつまで経っても自立できない兄弟の私を、見捨てることは出来なかったようです。
母熊が去ったあとも、雌熊は私の世話をし続けました。私のために食べ物を採ってきては、食べさせました。
私は雌熊が採ってきてくれた食べ物を、まるで犬や猫のようにしゃがみ込んだまま、夢中でかきこみました。
そんな風にして、私はなんとか四つん這いで移動できるくらいに成長したのです。
しばらく私は成長したあとも、他の動物達と同じように四つん這いで歩いたり、走ったりしていました。
兄弟の雌熊のおかげで、1人で水飲み場にも行けるようになりましたし、1人で食べ物を探すことも出来るようになりました。
時には、雌熊の分の食べ物も洞穴に運ぶことも出来るようになりました。