自分が他の生き物の役に立っているという感覚は、私に大きな存在意義を与えてくれました。
やがて、いつものように死期が近づいた仲間のために両手で水を汲んでいた私は、ふと水場に大きな葉っぱが浮いているのを見ました。
その大きな葉っぱの上には水がたまっていました。
それを見た私は、その葉っぱを持って仲間の元に戻りました。
大きな葉っぱの上に溜まっている水は、小さな私の両手ですくった時よりもずっとたくさんありました。
それからはいつも大きな葉っぱで水をすくうようになりました。
こうして私は初めて道具を使うようになったのです。
自分の両手が他の動物よりも器用に動くことに気づいた私には、もう1つ存在意義を感じられる仕事が出来ました。
それは、動物の毛の中に寄生している小さな虫を五本の指を使ってつまみ上げて食べてやったり、動物の背中や顔のあたりの毛づくろいをしてやることです。
これはいろいろな動物たちに喜ばれました。
彼らにとって自分の顔や背中の毛を身づくろいすることは、とても難しいことだったからです。