私の耳にはただ「みいーーっ!!!」という聴いたこともない不思議な音が聴こえていました。
その音が自分の喉から発せられた自分の声だと気づいたのは、おそらく私の魂が、そのみすぼらしくやせ細った肉体から抜け出した後のことでしょう。
突撃して行った私は、あっという間に1頭の敵の強靭な顎と研ぎ澄まされた歯に食いちぎられました。
その瞬間、私が感じたのは痛みでも恐怖でもなく、ただ熱さだけでした。
食いちぎられた傷が熱かったのか、自分から吹き出した血が熱かったのかわかりません。しかし、ただ、ただ猛烈な熱さを感じていました。
そして私の肉体は、他の草食動物たちと同じように、むさぼり尽くされました。
私はそのありさまを、少し上の方から呆然と見つめていました。
猛烈な熱さを感じたあと、私の意識はいつの間にか上の方へと移動していました。
私はまるで肉体を持たない目だけの存在になったようでした。