「部落の男の人たちは狩りに出かけ、獣の肉をとってきます。それを鍋で煮て食べるのです。食事はいつもそのような感じです。
お父さんは、食事をしながら、よく私に星のことや、人の生き方について教えてくれました。私は、お父さんが好きです。
そのうち私は、11、12歳になり、同じ部落の男の人との結婚の話も進んでいました。母のようにこれからも生きるのだとみじんも疑っていませんでした。
しかし、ある時、別の部落の人たちが私たちの部落に突然、攻め入ってきて、私と弟の目の前で、父と母を袈裟懸けに刃物で切りつけ、私はたくさんの血しぶきを浴びました」
彼女はこのとき、敵の部族が使っていた武器について、説明してくれています。
「農業をするときに使う鎌のような形のものや、石を鋭く研いだ剣のようなものです。でも、それは多分武器ではなく、普段、仕事や生活に使っていたものだと思います。
私も殺されると思ったのですが、何がなんだかわからないうちに、他の生き残った人たちと共に洞窟に閉じ込められました。泣きじゃくる弟を抱きかかえて、なだめるのに必死でした。
彼らは、私たちを飢え死にさせて殺すつもりだったようです。男の人たちはほとんど切りつけられて殺されました。しかし、弱い老人や子供などは、洞窟に閉じ込めて穴を塞ぎ、死ぬまで開けないようにしたのです」