「なぜ、彼らはすぐにあなた達を殺さなかったのですか?」
「それは、彼らのすべてが本当は残虐な行為を望んでいたわけではないからです。普段は、彼らもわたし達と同じように生活している普通の人々です。彼らにも奥さんや子供がいるのです。だから、なるべく、自分の手で、女の人や子供を殺したくはないのです」
「では、なぜ、かれらは、あなた達の部落を襲ってきたのですか?」
彼女は、間をおかずに答えました。
「水です・・・・。水が原因のようです。水がなにか恐ろしい病気の原因だと彼らは思い込んでいます。そのために私たちの部落を消滅させて、病気を食い止めようとしています。
わたし達の小さな部落の水の供給場が、すでに汚染されていると、彼らは思っているようです。でも、実際には、それは勘違いです。伝染病の原因は水ではなく、何かの小動物が媒体となっています」
前世のキャベッツア(彼女がそのとおりには発音できていないという前世での名前)には、むろん、当時自分の部落が襲われた理由や、伝染病の原因などは、わかりはしませんでした。
しかし、今、生まれ変わって新しい現代の情報をもっている彼女の知識のフィルターを通すことによって、当時わからなかったことが、わかるようです。
「キャベッツアさんが生まれた国の名前、もしくは場所などはわかりますか?」という私の質問に彼女は、「・・・・ハンガリーの辺りだと思います」と答えました。