催眠中、彼女の体は、ほとんど身じろぎもせず、きめ細かやな象牙色の頬はいつもより少し、青白く見えました。
前世に誘導してすぐ、彼女は嗚咽をもらし始めたので、私は前世での彼女が何か苦しい状況にいるのだと察しをつけましたが、洞窟に閉じ込められているのだと聞いて、やや心配になりました。
というのも、孤独になるのをなにより恐れていた彼女が初めての前世体験で、いきなり洞窟に閉じ込められる追体験をしているのですから。
また、実は彼女は孤独になる恐怖の他にも、暗い場所や狭い場所、窒息すること、不衛生なことに対する異常な恐怖を抱えていたのです。
しかし、私の心配をよそに彼女は嗚咽をもらしながらも、状況を詳細に説明してくれました。
おそらく、彼女の潜在意識は、長年苦しんできた恐怖症の理由を知る時期は、今なのだと彼女自身に知らせたのでしょう。
前世での経験をまるで、彼女は映画を見ているかのように体験していました。私の質問に対する答え以上に細かく、周囲の状況や自分の生い立ちを明確に見極めている子です。