それからさらに、きくさんの人生での生活を聞いています。
「普段の生活では、侍女たちとおしゃべりをすることが楽しみです。身の回りのこととか、勉強の話や着物や髪のことなどを話します。
今の生活にはなんの不満もありません。お父さんが亡くなっても叔父さんがしっかりと家を守ってくれているので安心して暮らしています」
「ではきくさんの人生での転換期となる場面へとすすんでください」
「・・・叔父さんが友達を連れてやって来ました。男の人です。官僚仲間のようです。
私は庭にいました。お互いに垣間見たという感じです。初めて男の人が来たのでびっくりしています。
それは実は縁組だったのです。少し経ってから手紙を叔父さんが持って来ました。あの男の人からの手紙です。恋しい気持ちを歌にして届けてきたのです」
「その男の人はあなたをいつも中間世で迎えてくれるあの男の人ですか?」
「そうです。あの男の人です」