8歳の少女ジュリアンは、病気の母親と弟のために、森の中で食べ物を探して来たようです。
そして、力ない声で、お腹が空いたと呟いています。私はジュリアンの様子をもっと知るために質問を続けます。
「ジュリアン、今日はあまり食べ物が見つからなかったの?」
「そう・・・でも、今日だけじゃない・・・いつも、あまり食べ物見つけることが出来ない。
トーマスは・・・弟はトーマスという名前・・・5歳なの・・・トーマスは何か食べ物がないか、カゴの中をあさっている・・・そしてがっかりしている・・・かわいそう・・・」
ジュリアンは、消え入りそうな声で弟のトーマスのことを話してくれました。母親は病気ということですが、父親は、いったいどうしたのでしょうか。
「ねえ、ジュリアン、あなた達のお父さんは、どうしたの? 今、どこにいるの?」
「お父さんは・・・町でお酒を飲んでいる・・・たまに帰ってくるけど・・・ああ、お母さんがこんな風に病気になって寝たきりになってからは、帰ってこない・・・
お父さんは、元々は木こりをしていた・・・でもお金を家にあまり入れてくれない・・・お酒を飲むから。
だから、お母さんが繕い物をして・・・なんとか食いつないできたけれど、お母さんが病気になって、段々寝たきりになって・・・食べるものがなくなって、私が食べ物を探しに森に行くようになった・・・」
うつろな調子でジュリアンは話し続けます。
「でも・・・森は怖い・・・動物が怖い・・・でも私が行かなきゃ・・・みんな死んでしまうから・・・ああ、どこに行ったら食べ物があるんだろう・・・」