ジュリアンの頭の中は、食べ物を探すことでいっぱいのようです。
私は、なんとかもう少しジュリアンのことを知りたいと思い、両親のことにジュリアンの意識を向けることにしました。
「ジュリアン、あなたのお父さんとお母さんは、ずっとそんな調子なの?お母さんはずっと苦労をしてきたの?」
私の質問を受けて、少し顔をこちら側に傾けるようにしながら、彼女は少しだるそうに話し始めました。
「うーん・・・お父さんとお母さんは、駆け落ちをして夫婦になったと聞いた・・・お父さんは馬車の御者だったらしい。お母さんは身分のあるお家の娘だったけれど、お父さんと一緒になるために家を捨てて、駆け落ちした・・・
愛だけがある生活・・・初めはそれでよかったけれど・・・愛だけでは生活はできない・・・破綻したの・・・
お父さんはお酒に溺れて、働いたお金はほとんどお酒に変わってしまう。お母さんは繕い物をしてわずかなお金を稼ぎながら生活を支えてきたけれど、体が丈夫ではなかったから、病気になってしまった・・・
咳がひどくて、体がだるい病気。1個のベッドにみんなで寝る生活。もうどうしようもなくて、お父さんを探しに町に行ったこともあるけれど、町までは2時間半もかかるの・・・
それにお父さんを探しても無駄・・・なんの頼りにもならない人だから・・・だから・・・どうしようか・・・お腹が空いたし・・・」