金持ちの気まぐれから、ジュリアンのパトロンは、彼女にさまざまな教養を身につけさせたようです。
客観的にみるとシンデレラストーリーのような展開ですが、当のジュリアンにとっては、パトロンのその酔狂さが、不安でたまらない様子です。
さらに、ジュリアンのその後を追っています。
「・・・今、18歳です。これから観劇に行くところです・・・太った男の人と一緒です・・・それから私の他にもう1人若い女の子もいます。・・・この太った男の人は以前のパトロンではありません・・・」
彼女はいくぶん自分でも訝しげに話しました。
「その男性は、あなたを教育したパトロンではないのですか? それでは誰ですか?」
「・・・私の新しいパトロンです・・・私は今、この男に面倒をみてもらっています・・・。社交マナーを付け焼き刃で身につけた頃、パトロンの興味は私から別の女性に移りました。
このままでは捨てられ、また路地裏生活になるかもしれないと、私は思いました。そこで身の回りの高価な物やお金を盗んで、私は逃げました。
そしてこの新しい土地で、身分を詐称して、貴族の愛人の地位を手に入れたのです」