ジュリアンは流転の人生を歩んでいます。
「そう・・・新しいパトロンはどんな人ですか? それから今、一緒にいるもう1人の女の子は誰でしょうか?」
「この人は裕福な貴族です。年齢は40代の後半くらい。とても太っていてお腹が出ています。そして大変な道楽家です。食べ物、着る者、女性、遊び・・・享楽の世界で生きています。
そばにいるもう1人の女の子は、私と同じ立場の愛人です。今は、私とこの女の子が彼のお気に入りなのです。」
「なるほど。今、あなたは観劇に行くところなのですね。あなたはどんな格好をしているのですか?」
私の質問を聞いて、彼女の薄いまぶたはぴくぴくと動き出しました。そして、やがていつものように落ち着いた声で答えます。
「私の頭には羽飾りがついています・・・扇を持っています・・・ドレス・・・薄いパステルカラーのドレスは、ウエストからふわっと広がっています。派手な衣装です」
「派手な衣装に身を包んで、今、ジュリアン、あなたの気持ちは?」
ジュリアンは一瞬ためらったあと、静かに口を開きました。
「・・・虚しい・・・欲しいものは手に入れたけれど・・・何もない・・・何故、これを求めていたのかわからない・・・
でも、今の生活は捨てられない・・・昔の暮らしに戻るのは嫌・・・今はもう何の目標もない・・・」