荒れ果てた生活を送るジュリアンに代わり答えてくれている彼女に、私は質問しました。
「ジュリアンが今、住んでいるところはどこなのですか? 以前いたフランスとは違うのですか?」
彼女はちょっと考えるような仕草をしたあと答えました。
「違うようです。でも言葉は通じます。周囲の状況はよくないようです。おそらく戦争が起こっています。この場所は戦地にはなってはいませんが。」
「それでは、ジュリアンさんに伺います。今、どんな気持ちですか?」
私は再びジュリアンの感情にアクセスしました。
とたんに彼女の顔は、泣いているとも怒っているとも判断つきかねる複雑な表情に変わりました。
「頭にくる。ほんとに頭にくる。みんなで私をバカにして。もう少し若ければ・・・ほんとに頭にくる・・・」
ジュリアンの心は、おそろしくやさぐれています。
また、以前のようなその日暮らしの娼婦にジュリアンは戻ったのでした。