前世を覚えている子どもたち

トム・シュローダー著(ヴォイス刊)

著者であるトム・シュローダーはピューリッツァ賞の受賞歴をもつジャーナリストです。

前世の記憶生まれ変わりについて興味を持った彼は、肯定的な立場でもなく、否定的な立場からでもなく、生まれ変わりの真相を調査するために動き出します。

そして彼は生まれ変わりの研究の世界的権威であり、『前世を記憶するこどもたち』の著者でもあるイアン・スティーヴンソン博士前世を記憶する子供たちの追跡調査に同行することになります。

トム自身は「人が生まれ変わるなんてそんなばかな」という思いを抱きつつ、しかし、生まれ変わらないという証拠はないという絶対的な事実にも行き当たります。

そんな交錯する思いを抱えてイアン・スティーヴンソン博士と共に科学的実証を求めて追跡調査に乗り出します。

そこでトムが実際に見て、聞いた子供たちの記憶は非常にリアルなものでした。

また、イアン・スティーヴンソン博士を1人の人間として見つめ、博士の心の葛藤や生まれ変わりの研究に半生を費やすようになった経緯をジャーナリストとしてだけではなく個人的な視線から捉えています。

私個人としては、今まで生まれ変わりの研究の世界的第一人者であり、常に科学的で公平な立場からの実証結果を淡々と示し伝えていくイアン・スティーヴンソンの人間性を垣間見ることができるという点がこの本の一番の魅力ではないかと思っています。

現代において科学は実にさまざまな恩恵を私たちの生活にもたらしました。

しかし、同時にたくさんの可能性や真実を封じ込めてしまったのかもしれないという焦りが沸き起こってきました。

現在の科学では証明できない事象がたくさんあるのが事実です。

それらの事象をただ証明できないからという理由だけで否定するのはあまりにも乱暴ではないかと思います。

そういう意味でも、解明されていない事象を科学的な立場から検証していくという作業を続けてくれている彼らたちに、大きな期待を持っています。

私のように前世というものに関わる仕事をしている方たちにはもちろん、ただ生まれ変わりに好奇心をもっている方にとっても単純に面白い作品です。

ぜひ、一読してみてください!