ヒプノセラピストの仕事の喜びとは?

ヒプノセラピストをやめられない理由を一言で言えば、クライアントさんの人生が大きく変わる転機に関われる喜びがあるからです。

ヒプノセラピストは一人の人間が、まるでさなぎが蝶になるように成長し、変化していくのを目の当たりにすることができる仕事と言えるでしょう。

ヒプノセラピストの前に現れた、見知らぬ若い女性

ある時のことです。若い女性が私の元を訪れました。

服装は今流行のファッション、顔は若い女性らしくナチュラルなメイクが施され、髪型はすっきりと清潔感のあるセミロングにカットしています。

私には、最初、この魅力的な若い女性が誰なのかわかりませんでした。
しかし、彼女と話をしているうちに、半年前、彼女と初めて会ったときのことを少しずつ思い出していったのです。

彼女は当時20代後半。高校を卒業して、事務職に就いたものの職場の人間関係になじめず、2年で退職。それ以降ずっと、実家で家事手伝いをしていたといいます。

自分の容姿にどうしても自信が持てず、ほとんど外出もせずに数年を過ごしていた様子でした。 彼女は一般的な平均体重を約30キロオーバーしていました。また、不摂生な生活からできた顔一面の吹き出物がさらに彼女を家の中に引きこもらせていたようです。

元々は彼女のお母様が私のクライアントさんでした。そのお母様自身も娘への心配から体調を崩し、私の元を訪れたのです。

母親に勧められてから私の元にやってくるまでに1年近くかかりました。
しかし、とにかく、私の元にやってきてくれたことがもう、初めの一歩です。
それを彼女の人生の大転機とさせることがヒプノセラピストとしての仕事です。

カウンセリングの後、ダイエットの暗示療法を中心としたヒプノセラピーを始めました。

しかし、なかなか、効果は表れませんでした。

前世療法で体重が減り始める

そこで、彼女の希望もあり、前世療法を試してみることにしました。
1回目の退行で、中世ヨーロッパで女性として生きた前世をみました。
そこで現在抱えている問題の原因がわかりました。

それから1か月のうちに3回のセッションをし、合計4回の前世をみたのです。
1か月で彼女は驚くほど変わりました。
まずは、体重が減少し始めました。同時に皮膚科に通院を始め、少しずつ吹き出物が減っていきました。

前世を思い出すことによって、彼女は今生で抱えている問題の意味を理解し、本来、持っている自分の資質に気がついたというのです。

彼女は体重を20キロも減量しました。

流行とは程遠い地味な服装、顔全体を覆うようなロングヘア、化粧っ気の全くなかった顔をしていた半年の前の彼女は、流行のファッションに身を包み、上品なナチュラル・メイクで、すっきりと清潔感のあるセミロングの髪型をした魅力的な女性へとすっかり変わっていたのです。

そして、その翌年には彼女が子供の頃から好きだったアニメーションの専門学校への入学を目指していると嬉しそうに話してくれます。

また、生き生きと楽しそうに将来の夢を語る彼女に恋人ができるのも時間の問題であろうと思いました。こんなにチャーミングな女性に恋が訪れないわけはないのですから・・・

半年前の彼女を知っていた私にとって、自分の目の前にいる若い女性が同一人物だとは信じられませんでした。

しかし、その驚きを表情には出さず、胸の内で一人ほくそ笑みました。

この瞬間ほど、ヒプノセラピストとしての喜びを感じることはありません!

時として、ヒプノセラピーはその人の人生が大きく変わるきっかけとなります。

ヒプノセラピストは、クライアントさんの心の奥深くにアクセスするため、1回のセッションに要するエネルギーは想像以上に大きなものです。また大変責任の重い仕事でもあります。

それでも、ヒプノセラピストをやめられないのは、こうした大きな魅力がある仕事だからです。

人の心に寄り添う幸せ

ヒプノセラピストの仕事とは、クライアントさんによっては、長い間、錆びつき閉ざされていた心の窓を開く潤滑油を注ぐ作業であるともいえます。

そうして、うまく心の窓に隙間を開けられたら、今度は新しい風を吹き込んでいくお手伝いをするのがヒプノセラピストの役割なのです。

実は、その新しい風は一人ひとりのクライアントさん自身がもっているものなのです。

ただ、そのことにクライアントさん本人は気づいていないだけなのです。
また、気づいていても、その風がどこにあるのか、どうやって、風を心の中に吹き込んでいけばいいのかがわからないだけなのです。

そうです。

答えは全てクライアントさん本人がもっているのです。ヒプノセラピストはそのことをクライアントさんに気づかせ、心の風通しを良くするお手伝いをするのです。 まるで、暗い道に佇んでいる人の手をそっとつかんで、ゆっくりと明るい道へと連れ出すかのように。

そしてまた、わたし達ヒプノセラピストは暗い道へと戻っていきます。というと不毛の作業のように感じられますが、そうではありません。

わたし達ヒプノセラピストは何度も明るい道に出て行くときの達成感や爽快感を味わうという稀有な素晴らしい経験をすることができるのです。

その瞬間は、ヒプノセラピスト自身も大きなエネルギーに包まれるような至福を感じます。
あたかも一方的に与えることが仕事のようなイメージをもたれがちなセラピストという職業ですが、実際にはそうではありません。

クライアントさんとの信頼関係ができ、クライアントさんの心の声が聴こえてきた時、ヒプノセラピスト自身の声もクライアントさんの心に届くようになります。

つまり、潜在意識のレベルで会話をしているとも言えるでしょう。そんな奥深い部分での感情の共有はまさに魂の対話とも言うべき素晴らしいものです。

また、「人の心に寄り添うようなヒプノセラピスト」の養成が当スクールの理念です。実は、クライアントさんの心に寄り添えた時、まさにヒプノセラピスト自身の心も寄り添ってもらっているのです。

ヒプノセラピストとしての醍醐味とは、そんな経験を人生で何度も味わえることなのです。