松本 功(まつもと いさお)認定セラピスト

私はアディクション(嗜癖、依存)専門の精神科医です。

酒、ドラッグから始まって、ギャンブル、買い物、摂食、セックスなど、人間の欲望の一つ一つが依存を生み出す可能性があるのですが、依存を生み出しやすい背景に注目しています。

その一つが、幼小児期に持続的なトラウマを受けている、固い言葉で言い換えると、複雑性PTSDあるいは発達トラウマを受けている場合が多いことです。

たとえば、子どもが親から虐待を受けている場合、子どもは自分が悪いところがあるから、そうされているんだ、と怒りや悲しさなど自分の感情を二の次にして、まず親の機嫌を伺う(同一化する)ようになる傾向があります。いのちをもらったことに対する忠誠心とも言えます。

子どもとしては、事実は無力でありながら、しかし自分さえ頑張ればなんとかなるといった万能感と、親に対する忠誠心から、罪悪感を抱くことがあります。

その在り方、自我状態が、成人になっても生き続けていることがあります。もう、自由に人生を選択でき、逃げる必要がある時は、はねのける手、逃げる足の力が備わっているのに、断れず、危険から逃れられないのです。持続的に自分の価値を下げ続けています。傷ついたインナーチャイルドが生き続けているのです。そうやってサバイバルしてきています。

インナーチャイルドを扱うようになって、このダブルバインドに気づかされるようになりました。そして複雑性PTSDにもアプローチする手がかりを得ることができるようになりました。

さらに、複雑にしているのは、ではその親が何故、虐待的になるのか? それは親自身も、その親あるいは環境からトラウマを(持続的に)受けていて、それがまだ癒やされていない可能性があるからです。そんなことも、分かってきました。

つまり、クライエントは祖父母の代のトラウマを引き受けている可能性があります。言い換えると、世代を超えたインナーチャイルドの同一化が行われていると言えます。そう考えると、いったい連鎖はどこまで続くのか? ということになってしまいます。

そこで、登場する方法の一つが前世療法です。前世療法も視野に入れると、懐の深いインナーチャイルド療法が可能になると思います。当スクールは、インナーチャイルド療法も前世療法も充実しているのが魅力的です。

インナーチャイルド療法は、クライエントと一緒に旅することです。そして、そのたびに新しい光景や発見をします。時には絶壁に立つこともあります。一緒にワクワク、ドキドキしながら、学ぶことばかりです。旅の同行人として、少しでもお役に立てれば幸いです。

認定資格

インナーアクセスヒプノセラピースクール認定 退行療法セラピスト

主な経歴・資格など

精神科専門医
現在、特定医療法人群馬会 アルコール・薬物依存症専門病院「赤城高原ホスピタル」勤務
昭和57年信州大学医学部卒業

東京サイコドラマ協会認定サイコドラマティスト
AANZPA(Australian and Aorearoa New Zealand Psychodrama Association)準会員
プレイバックシアター日本校第2期生
平成23年バベル翻訳大学院(文芸・映像翻訳専攻)卒業。翻訳修士取得

EMDRパートII 修了。somatic experiencing初級修了。TFT Algorithm level修了。(いずれもトラウマ治療技法)

国際催眠連盟(IHF)認定ヒプノセラピスト
国際セラピートレーニング協会(ITTO)認定ヒプノティスト
米国催眠療法協会(ABH)認定マスターヒプノティスト
米国NLP教会認定NLPマスタープラクティショナー
インナーアクセスヒプノセラピースクール 顧問医師

著 書

『精神看護学I 精神保健学』共著、吉松他編集、廣川出版、平成9年

訳 書

『いのちのサイコドラマ』マックス・クレイトン/フィリップ・カーター著 松本功訳、群馬病院出版会/弘文堂、平成25年
『ロールトレーニング・マニュアル』マックス・クレイトン著 中込ひろみ/松本功訳、二瓶社、平成25年