0132.僕は人間なんだ

「ひどい。とても悔しかった。その時の自分は何を言われているかわからなかったけれど、バカにされたということは、はっきりとわかった。

お母さんや弟たちの死体を見ても憐れみどころか、人間らしい悔やみの言葉もなくて、まだ息をしている僕をまるで汚い物みたいに扱って・・・靴で踏んで、それから蹴られた・・・

同じ人間なのに・・・ひどい・・・」

シャブビドゥとしての人生でどうしても見なければならなかった最後の場面は、人間としての尊厳を踏みにじられた憤りに満ちたものでした。

私は今までにも彼女のいくつもの前世に立ち会い、さまざまな凄惨な場面に彼女と共に遭遇して来ましたが、このときほど1人の大人として、先進国の一員として、人間という生き物を愚かに感じたことはありませんでした。

また1人の母親として、かつて数々の無意味な戦いの犠牲となった子供や母親たちの声を持たない慟哭が聞こえてくるような錯覚を覚えました。

ただ、ただ心がとても痛かったのです。



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