彼女は、さらに次の前世の扉を開けます。
その前世では、シルフィドという名前の少女でした。
彼女の島は、侵略者の手に落ち、彼女も奴隷として連れていかれ、命を落とします。
そして、ハイヤーセルフから、魂が成長するための課題についてのメッセージをもらいました。
これまでにたくさんの前世に回帰している彼女には、前世を体験する際にいくつかのパターンがあるようです。
その1つとして男性の性を生きた時と女性の性を生きた時の類似性があります。彼女が男性として生きた前世での人格の性質と、女性として生きた前世での人格の性質には共通点がみられます。
例えば、男性として生きた前世の人格は、概ね無骨で一本気であり、それぞれが何らかの強い目的を持っており、寡黙でありながらも誠実な努力家です。
それに対して女性として生きた前世での彼女の人格は、いくつかの例外を除いて自分のおかれた環境や条件に翻弄され、意に沿わぬ運命を余儀なくされることが多いようです。
今回ご紹介する前世は、まさに運命に翻弄された哀しい女性であった時の記憶です。
催眠に入ってすぐ彼女の表情は曇り始めました。
「石が下にある・・・木の牢屋に入れられています・・・私は女の子で、14歳です。髪の色は明るい茶色で腰のあたりまである長い髪です・・・こしがなくて細い髪・・・」
「何故、あなたは牢屋に入れられているのですか?」
「・・・ご主人様の気に入らないことがあって、それで入れられています・・・」
「ご主人様とは誰ですか?」
「・・・軍人かな・・・髪が黒くてローマ人・・・ちょっとわかりません」
「今、どんな気持ちですか?」
「・・・生きていることが辛い・・・」
「何故こんな状況になったのかを知るためにもっとあなたが小さかった頃に戻ってみましょうか?」
「・・・はい」
「目の前が海です。私の家は崖が突き出したような所に建っていて、風がよく吹く所です。
今、風に吹かれて立っています。膝くらいまで草が生えています。とても気持ちがいい場所です。
私は7歳くらいです。袖がない白っぽい木綿のようなワンピースを着ています。髪の色は薄い茶色で、ゆるいウェーブがかかっています。
足は・・・裸足です。でもたまに靴も履きます。革で編みこんだサンダルのような靴です」
彼女は上手にこの前世での幼少時代へと戻ることが出来ました。
そこで、さらにこの少女の日常を聞いています。
「私の家は、石・・・レンガかな・・・粘土のようなものかもしれない・・・四角く黄土色っぽい家で、四角い穴があって、それが窓になっています。
ここは自分たちで建てた家ではなくて、昔からあった建物です。空いたら誰かが住むというか、誰が住んでもいいようです。私はここに生まれた時から住んでいます。ここはとても温かい場所です。
だから玄関には、布がかかっているだけです。ドアのようなものはありません。家の中は、テーブルが1つ・・・と丸い椅子が1つ。かまどがあります。部屋は1部屋だけです。ベッドも1つです。みんなでこのベッドに寝ます・・・
それから棚のようなものがあります。そこに乾燥したニンニクのようなものとか、香辛料のようなものも吊るされています。容れ物に入った保存食のような干した食べ物もあります」
彼女はとても詳しく自分の家の状況を話してくれます。
さらに彼女の話は続きます。
「周囲に住んでいる人たちは、みんなこんな生活です。ここは島です。私は島に住んでいます。どこにいても海が見えます。みんな丘の方に住んでいます。
いつも穏やかな海ですが、嵐の時には少し怖いです・・・波が来ても岩が防波堤のような役目をしているので満ち潮になってもここまでは波は来ませんから大丈夫です・・・
いえ、大丈夫だとみんなは思っています。その中でも、うちは、1番危険な所に住んでいます。崖が突き出た所ですから」
「そうですか、なんだか穏やかな素敵な所ですね。では、いつものようにお食事の場面に行ってみてください」
「円盤みたいな平たいパンを食べています。かまどで焼いたパンです。それから木の実のようなものを指でぶちっとつぶして、それをパンに乗せて食べます・・・
あとは魚もあります。これは焼いてあります・・・味は塩とバジルのような香草でつけてあります。食料は豊富です。果物もたくさん取れます。
でも何故だか、そのまま食べずに乾燥させてドライフルーツのようにして食べています・・・どうしてかな・・・ああ、お腹を壊すからだ・・・それに渋いし。だから加工して食べているんです」
いつものように彼女の生活風景の描写はとても詳しく、聞いている私の方も、だんだん興味しんしんとなってきます。
さらにこの前世での日常について彼女は話してくれます。
「私はお父さんとお母さんと3人で暮らしています。お父さんもお母さんもとても若い・・・たぶん2人ともまだ20代だと思います。
お父さんの髪はストレートヘアで・・・坊ちゃん刈りみたい・・・髪の色は薄茶色です、ミルクティみたいな色の髪です。本当にまだ若くて、穏やかで明るい青年という感じです。
お母さんは、私ととてもよく似ています。長い髪を1つの三つ編みにしています。頭に何かつけています。はちまきのようなもので、細い革の飾りです・・・なんだかボヘミアンのような・・・
私の名前を今、お母さんが呼びました。シェルモちゃん・・・?
そんな風に呼んでいます。でもこれは私の本名ではないと思います。
私の本名は・・・シルフィドですから」
この前世での彼女の本名はシルフィドというと彼女は言いました。
シルフィドについてさらに細かく彼女は話してくれます。