そして、平凡でありながらも、とても意味深く、感動的な人生を送った
ジェイミーという男性の前世をご紹介しています。
次にご紹介する彼女の前世は、実は最初は私ではなく、別のセラピストの元でみた前世です。
その後、その前世に大きな意味を感じた彼女が、もう一度私の元で同じ前世に行ってみたいと言って来ました。そこで、あえて、その前世に焦点をあてて誘導したものです。
この前世に誘導した当時の彼女は、高校生になっていました。
すでに何回も前世療法体験を重ね、彼女は自分が目標とする高校に通い、充実した高校生活を送っていました。
ただ、自分の夢を実現するためには、大きな努力と強い決意が必要であるということを知りつつも、果たして自分にそれが出来るだろうか、最後までへこたれずに頑張ることが出来るのだろうか、という不安を持っていたようです。
そんな状況の中で、彼女はたくさんの前世をみています。
次からご紹介する前世は、それらの前世の中のいくつかです。
特にこの後すぐにご紹介する前世は、今までご紹介してきた彼女の前世とは違った印象をお受けになるでしょう。
というのは、あまりにも平凡でありきたりな人生だからです。しかし、実は彼女はこのように平凡な人生もいくつもみています。
平凡でありながら、とても意味深く、感動的な人生です。
これまでに彼女は、たくさんの前世をみてきています。そして、今でも時々、私の元を訪れては前世と未来世をみています。
彼女がみる前世は、鮮明で臨場感にあふれ、そして、大変意味深いメッセージを持っています。
そのたくさんの前世の中で、私が個人的に特に印象に残ったものをこのブログで取り上げさせていただいているのですが、さらにその中でも私が個人的に惹き付けられる前世というのがあります。
ほんとうは私の立場上、惹き付けられる前世などと言ってはいけないのですが、彼女はこれを許してくれていますので、あえてそう言わせていただきます。
次にご紹介するのは、私が個人的に特に魅力を感じる前世のうちの1つです。
彼女の催眠に対する感応力は、相変わらず衰えることなく、ますます高まっているようでした。
前世に入った彼女は、いつものように語りだします。
「・・・町の中にいます・・・私は子どもです。目線がとても低いです・・・たくさんの人がいます。私は男の子です・・・7歳です。
・・・盗みをしようとしています・・・男の人の腰のあたり・・・ポケットのあたりばかり見ています。
お金持ちの人はすぐわかります。シルクハットを被り、時計を持っている人がお金持ちです・・・金時計です。ポケットを狙います。
・・・いつもこんな風に盗んでいます・・・」
「あなたはまだとても小さいのに、いつもこんな風に盗んでいるの?それはどうしてですか?」
前世に入ったなり、いつも盗みをしているという告白に、やや驚きながら、私は聞きました。
「わかりません・・・」
「それではあなた自身をようく観察してください。そしてわかったことは何でも教えてください」
「・・・私は少年です。帽子を被っています・・・中袖、中ズボン、ベストを着ています。古い服です。
そして身に付けている物はすべて汚いようです。
薄汚れた感じ・・・茶色の髪の毛・・・白人です。ここは商店街です。石畳です。
ロンドンのようです・・・馬車が走っています。私は盗むことにとても慣れています。男の人の腰のあたりのポケットの中の財布を狙います。
どの人がお金持ちかを観察しています。そうして近づいて行ってすっと財布を抜き取ります。私はまだ背が小さいので、ちょうど盗みやすい位置に財布があるのです」
彼女が、あまりに詳しく盗みについて説明するので、私はますます混乱してしまい、この少年の生活がよくわかる場面へと誘導しました。
ところが、彼女は私が誘導の言葉を言い終える前に、いきなりシクシクと泣き出したのです。
「・・・お母さんが・・・お母さんが・・・病気です・・・ベッドで寝ています・・・そして僕に『ごめんね、ごめんね』と言っています。
僕の名前はジェイミーです。お母さんは泣きながらいつも『ジェイミー、ごめんね』と言うのです。
町のはずれの長屋のような所に住んでいます。古く汚い家です。同じような狭い家がたくさん並んでいます。とても汚くて、そして不衛生な所です。
暗くじめじめとした寒い家でお母さんと2人で暮らしています。お父さんはいません。だいぶ前からお母さんが病気になってしまいました。
・・・だから僕が盗みをして、食べ物を買って帰ってくるのです。お母さんは僕が何をしているのか知っています。・・・でもそうしなければ食べることが出来ないので仕方ないのです・・・」
彼女は泣きながら哀しい身の上を話してくれました。そしていつも通り、彼女は自分のことを「僕」と言い出しました。
「お母さんは何の病気ですか?どんな症状が出ているのでしょうか?」
「咳をしています。微熱もいつもあるようです。体がだるくてあまり動けません・・・顔が赤いです。
お医者さんに診てもらいたいけれどお金がないから無理です・・・病気の名前はわかりません。伝染病なのかもしれません・・・」
「そうですか・・・もしお金がもっとあったら、お母さんに何をしてあげたい?」
「・・・ブローチを買ってあげたい」
彼女はつぶやくようにひっそりとそう言いました。
「お医者さんに診てもらわなくていいの?」
「もう、遅いから・・・」
ジェイミーはこの時、もうすでにお母さんがそう長くは生きられないということを子ども心に知っていたようです。
「そうか・・・じゃあ、今あなたが食べたい物は何ですか?」
「りんご!」
彼女は即答で応えました。
「りんごが好きなの?」
「うん。りんごが食べたい」
「いつもはどんな食事をしているの?」
「パンとか・・・あっ・・・お母さんが食事の支度をしてくれた頃は、スープとかいろいろ食べていたんだ。でも今は僕が、お料理を作れないから、パンとかばかり食べている」
彼女は催眠から覚醒した後、とても興味深いことを教えてくれました。