第5章 踊り子として売られたリッサ、人生の課題
0056.さらに前世への扉を開ける
それからも、いくつかの前世を彼女はみています。
その中で、少女である彼女が母親になった時の前世をご紹介してみましょう。
いつものようにあっという間に深いトランスに入った彼女は、またかつて生きたもう1つの前世への扉を開けました。
彼女がすっかり前世へと入ったことを確信した私は、
「今、あなたはどんな場所にいるのですか?」と質問します。
彼女はいつものように閉じたまぶたの奥であちらこちらを見回しています。
閉じられたまぶたの中の眼球がぐるぐると何かを探すように動いているのがわかります。
そしていつものように前世での彼女の視線の焦点が定まりました。
「きれいな大きな建物です。
足元は大理石のような石が敷き詰められています。
そのひんやりと冷たい床にたくさんの女の子が座っています」
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0057.私たちは今、品定めされているの・・・
「あなたはどこにいるの?」
「私も女の子たちの中に座っています。私は今、6歳くらいです。」
「女の子たちはみんな、あなたと同じくらいの年令ですか?
その女の子たちはみんな、そこで何をしているのですか?」
「ここでみんな暮らしています。
今、ちょうど私たちは品定めされているところです」
「誰に品定めされているの?それからなぜ品定めされているの?」
「・・・・わからない」
そこでその理由がわかるところまで時を戻すことにしました。
「さあ、あなたは今何歳ですか?」
「5歳。お母さんとおばあちゃんと暮らしているの」
「じゃあ、今あなたが暮らしているおうちや生活を教えてくれる?」
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0058.私の名前は・・・
ここからはその前世での日常を質問しています。
「家は、日干し煉瓦みたいなもので造ってあるみたい。
お母さんは黒い服を着ている。黒いローブみたいなもの。
頭から黒い布をかぶっています。その黒い布は腰の方まであります。
目のところだけは布はかぶっていません。でも目以外は黒い布で覆っています。
おばあちゃんもおなじような格好をしています。
あっ、でもそれはお出かけの時だけで、家の中では黒い服ではなく色のついた服を着ます。
おばあちゃんはちょっと太っています。
ご飯はじゅうたんの上に座って食べます。
床に座る生活です。
ドアはなく、入り口のところにはのれんのような布がかかっています。
食べているものは・・・・芋をつぶしたようなものとパンみたいなものと、いろいろなものを煮込んだような料理があります。
あっ今、おばあちゃんが私をリッサと呼びました」
彼女のこの人生での名前はリッサということがわかりました。
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0059.お父さんは兵士です
「リッサちゃん、あなたのお父さんはどこにいるの?」
「今はいない。どこだろう・・・・・
・・・・わかりました。お父さんは兵士のようです。
身分の低い兵士のようです。歩兵のような・・・
体はいかつい、がっちりとした体格です。
髪は茶色っぽくて、目鼻立ちがはっきりとしたハンサムな人です。
私の髪の色はお父さんと同じように茶色っぽい色です。
お母さんとおばあちゃんの髪の色は黒です。
町にはたくさんの人がいます。
いろいろな人種の人たちが住んでいるみたいです。
肌の色もいろいろで、顔の雰囲気もさまざまです。
たとえば、インド人のような人・・・・アラブ人のような人・・・中国人のような人・・・」
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0060.樽の中のリッサ
リッサちゃんの日常が大体つかめたので、次にそこで何が起きたのかを聞いています。
「たくさんの男の人たちが村に攻めてきました。
村中の人たちが騒然としてパニック状態になっています。
お母さんは、私を家の中の大きな樽のなかに入れて、上に板のようなものを置いてふたをしました。
そして私に声を絶対に出してはいけないと言いました。
とてもドキドキしています。
怖いです。そして真っ暗です。
少しすると、ガタガタとものすごい物音やおばあちゃんの叫び声がしました。
私は恐ろしくて震えながら縮こまっています。
しばらくすると静かになりました。
私はお母さんに絶対に樽から出てはいけないと言われたので我慢していたのですが、とても息苦しくなって、そうっとふたを持ち上げて部屋の中をのぞいてみました。
誰もいませんでした。部屋の中は静かです。外も静まり返っています。
息ができるようになったので、また私は樽の中でおとなしくしていました。
でもしばらくして、もう大丈夫かなと思って出て行きました」
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0061.かっと見開かれたおばあちゃんの目
「樽の外に出てみて私はびっくりしています。
おばあちゃんがうつぶせに倒れていたからです。
じゅうたんは血だらけです。おばあちゃんの背中には剣のようなものが突き立てられていました。
私はおばあちゃんのそばに近づいていき、おばあちゃんの顔を覗き込みました。
おばあちゃんの目はかっと見開かれたままでした。
私は驚いて声も出せませんでした。
それから、私は逃げようとして外に飛び出して行きました。
すると家の前にはお母さんが倒れていました。
やはり血だらけで死んでいます。
お母さんは、私とおばあちゃんを守ろうとして殺されたのです」
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0062.何も感じないんです・・・
またしても壮絶な幼少期の記憶です。
ただ、今回は彼女は泣いてはいませんでした。
私は「リッサちゃんはまだ、小さいのに泣いていないの?怖いでしょう?」と聞きました。
そして、その答えは意外なものでした。
「怖くありません。悲しくもありません」
「どうして? お母さんも、おばあちゃんも好きだったでしょう?」
「なにも感じないんです・・・・どうしてでしょう?」
少し考えてから彼女は言いました。
「わかりました。・・・・恐ろしすぎて何も考えられないんです。
何が起こったのかよくわかりません。呆然としています。
そして近所中を歩き回っています・・・」
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0063.みんな死んでいる
「呆然と歩きながら、近所の家を見て回っています。
みんな死んでいます。
大人も子供もみんな殺されています・・・・
そんなに長い時間のことではなかったようです。
敵はあっという間に攻めて来て、バタバタとみんなを切り殺して去って行ったのです。
だから樽に隠れている私は見つからずにすんだのです。
お母さんはとっさに私を目の前にあった樽の中に隠してくれて、自分は外に出て行き、敵の気をそらそうとしてくれたのです・・・・」
「お母さんはあなたを守りきれたんだね・・・・」
「うん・・・」
彼女の顔に翳りが出ています。
そうして次の場面へと誘導していきます。
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0064.頭の中に何度もあのシーンが・・・
「私は町に行き、市場の隅の路地で壁にもたれて座っています。
そう、体育座りのように。
途方にくれて、ぼうっとしています。
何も考えられない・・・ぼうっとしています・・・
でも、頭の中には何度も何度もあの時のシーンがまわっています」
「あの時のシーンとは?」
「樽の中で聞いていた叫び声とか、樽の中から出たあと見たおばあちゃんの顔、お母さんの姿、村中に漂っていた血のにおい、たくさんの死体などが何回も何回も、頭の中でまわっている」
「どのくらい、そうしていたのかな?」
「3日くらいそのまま。
そうしたら知らないおじさんが来て、私に話しかけました」
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0065.おじさんに連れていかれた
「そのおじさんは、なんて言ってるの?」
「わかりません。おぼえていません。
もしかすると聞いていたことも、わからなかったのかもしれません」
「おじさんはどんな人?」
「ひげをはやした商人のような男の人です。
頭にはターバンみたいなものを巻いています。
そして私に食べ物をくれました。
私はガツガツとそれを食べました。
そしておじさんに連れて行かれました」
「どこに連れて行かれたの?」
「子供がたくさんいる場所。
みんなボロボロの服装をしています。
とても汚くて・・・・みんな私と同じ戦災孤児です。
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0066.私たちは品定めされている
「子供たちは何歳くらいかな?」
「小さい子は2歳くらいで、大きい子は10歳くらい」
「なんのためにみんなそこにいるの?」
「私は1食だけそこで食べさせてもらいました。
そのあとすぐ太ったおばあさんがやって来て、私たちをじっくりと見ています。
私たちは立たされたり、触られたりしています。
太ったおばあさんは私たちを品定めしています」
「品定めとは? なんのためにそんなことをするのですか?」
「わかりません。でも私は選ばれました。
そして、残らなくて良かったと感じています」
「どうして残らなくて良かったと感じているのかしら?選ばれた方がいいの? じゃあ、その太ったおばあさんはいい人なのかな?」
「違います。おばあさんは別にいい人ではありません。
すごくやり手の商売人という感じです。
選ばれたのは私を含めて3人でした。
女の子ばかり3人です。
・・・・・あっわかりました。これは人身売買です」
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0067.私たちは売られていく
「私たちは売られていくのです。
残った子供たちは何をされるかわかりません。
奴隷などにされます。でも、たぶん私たちは違います」
そうしてリッサたちは太ったおばあさんに大きくて立派な建物に連れて行かれたのです。
以下は催眠中にそこでの様子を彼女が語ったものです。
「おばあさんは、子供たちの顔と肌の質感をみていたのです。
顔立ちが美しく、肌の滑らかな子を探していました。
私はたったの3日間しか放浪していなかったので、まだきれいな方でした。
だから、選ばれました・・・」
連れて行かれた所は大理石のようなタイルが敷かれたとても立派な建物でした。
すべての設備が最高級のものでした。
ここで私たちは何人もの子供たちと共同生活をしています。
ここはどうも、王宮の施設のようです」
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0068.私たちは踊り子
「そのおばあさんはなぜ、顔立ちが美しく肌が滑らかな子を探していたのかな?」
私の質問に彼女はもう何もかもわかっているかのように答えます。
「ここは王族のための舞踊団のようなところです。
国の機関のひとつで、宴会やパーティ、国の催し物などの際に踊ったり歌ったり、接待をするための国公認の踊り子を養成するところです。
だから舞台栄えする子をおばあさんは探していたのです。
小さい頃から演技を仕込む必要があるのです。
私たちのような戦災孤児は安く売られているし、家族がいないから、面倒なことが起きないのでちょうど都合がよいのです」
「そう・・・・リッサちゃんは今、どんな気持ち?」
「何も感じません。言われたとおりに行動するだけです・・・・」
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0069.踊り子たちの生活
「ではそこでの生活を詳しく観察してみてください」
彼女の閉じられたまぶたの中の眼球は、またいつものようにあちらこちらを探し回るように動き始めました。
「おしろいの匂いがすごい・・・大人の女の人は・・・大きい女の子はみんな体の手入れをしています。髪や肌や爪の手入れをしています。
みんな髪は黒く、ウエーブがかかっています。
そして、みんなとても薄着です。
布地が透けているような服装をしています。上半身はそんな薄い服装か何にも身に着けていない人もいます。
それにゆったりとしたズボンをはいています。女の人ばかりで生活しています」
「男の人はいないの?」
「いません。ここには男の人は入れません」
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0070.リッサの日常
「リッサちゃんは今、そこでどんなことをしているの?」
「私は掃除や雑用です。お姉さんたちの身の回りの世話をします。それから厳しい訓練が毎日あります。
訓練はとても大変ですがその他の仕事はそんなにきついものではありません。手が荒れるような仕事はあまりしなくてすみます・・・美しくなることが大事だからです。
いつも仕事のあとは手にオイルのようなものを塗りなさいと言われています。
お姉さんたちはみんな誇りをもっています。それはその世界での憧れの存在だからです。
踊り子の世界の最高峰の人たちだから。
ここにいる女の人たちはみな小さい頃から芸を仕込まれているのです。
特別な世界です。お姉さんたちは外の世界をほとんど知りません。
ここから出ることは許されていないからです・・・でもそれが当たり前のことだと思っているので誰も出たがりません」
「リッサちゃんに優しくしてくれる人はいる?」
「はい。私たちのようなちいさな女の子はそれぞれお世話をするお姉さんが決まっています。担当制みたいです。
私の担当するお姉さんはとてもきれいで優しい人です。時々食べ物をくれます」
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0071.リッサの訓練
「リッサちゃんはそこでどんな訓練を受けているの?」
「いろいろです・・・私の足首には鈴がついています」
「鈴?なんのためにつけられているの?」
「リズム感が一番大切なので、訓練の時も普段の生活でも鈴の音を聞きながら暮らしています。
訓練でも鈴を鳴らされて、その鈴の音に合わせて体を動かすのです。
ちょっとでも動きがずれるとダメです・・・叱られます」
「それはダンスのための練習?」
「・・・ダンスというか、跳ねたり、逆立ちしたり、回ったり・・・ああ、新体操みたいな感じです。・・・・そう、新体操が一番近いかな。
道具も使います。長いストールみたいな布をもって踊ります。
妖艶に体をくねらせたりすることを要求されているので、体がとても柔らかくなければならないのです。
リズムは・・・パーカッション・・・太鼓・・・笛と鈴で構成された音楽です。
みんな驚くほど身体能力が高いようです。
それは小さな頃からそういう訓練を積み重ねているからです」
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0072.踊り子として一人前になるとは・・・
「お姉さんたちの中でも特に仕事ができる人は、たまに外に出られるようです。
少しの自由が許されているので甘いお菓子のようなものを買うことができるのです。
私にもたまにナツメの砂糖漬けやアプリコットのような木の実のお菓子をくれます。
それが私はとても楽しみです。
私も早くそんなお菓子を買えるようになりたいな・・・」
リッサちゃんの意識が将来へと向いたので、少し時間をすすめてみることにしました。
私は時を進めるように誘導します。
「さあ、今あなたは何歳ですか?」
「今、14歳です。踊り子としてもう一人前になっています」
そこでリッサちゃんに何が起きたのかを聞いています。
「今、迎賓館のようなところでお客様の接待をしています。
踊ったり、お酌をしたりしています。特に踊りが上手い人は指名されて1人で踊ったりもしています。
そうすると徐々に踊り子としての地位が上がってくるのです。
それから・・・」
彼女は少し言いにくそうに口よどんでいます。
「お客様から指名されたら、男の人と一緒に寝なければいけません・・・」
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0073.踊り子たちはハーレムに入るのが目標
「つまり、肉体を提供するということ?」
「そうです。私たちは国公認の踊り子ですが、その仕事には身分の高い男性の相手をするという役目も含まれているようです。
私は13歳の時に初めて相手をさせられました」
「そう・・・怖かったでしょ」
「はい・・・でも以前から、大体のことは聞いていたようです。こういうことがあるんだよと」
「そんな生活をリッサさんはどう感じている?」
「踊ることは好きです。でも夜の相手をするのは好きではありません。
踊り子のなかには楽しんでやっている子もいます。それはチップがもらえることがあるからです。
それからアクセサリーなどももらえることがあるようです。
なぜかわかりませんが、アクセサリーはとても貴重なもののようです。
そして、もし気に入られたら大金持ちの商人や高級官僚のような人のハーレムに入ることができます。
踊り子たちはそれを目標にしています」
「ハーレム?どういうこと?」
「この国のお金持ちの男の人は妻をたくさん持つことができます。
つまり、お妾さんのような・・・ものかな」
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0074.私は自分の体が嫌い・・・
私はこれまでのリッサの境遇に少しショックを受けていました。
リッサの人生そのものにではなく、これらを語っているのが中学生の少女だということにです。
さらにリッサの証言は続きます。
「なぜ踊り子たちがハーレムに入りたいと願うのかというと、ある年齢になると踊り子たちはここを出て行かなければならないからです。
私たちはみんな小さい頃からここで暮らしています。ここの生活しか知らないのです。
外の世界をほとんど知らない私たちはのたれ死ぬか、または踊り子の養成の指導員になるかくらいの選択しかないのです。
だからみんななんとかしてハーレムに入りたいと思っています」
「あなたはどうなの?」
「うーん・・・私は男の人の相手をすることが好きではないのでいやですが、それしか生きる道がないので、仕方ないと思っています。
私は自分の体が好きではないようです。
それは私の体は胸が大きく、腰は細く男の人の視線を集めやすいからです。
自分の体を汚いと思っています」
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0075.ハーレムに入るリッサ
「それは辛いね・・・でもあなたは踊りも上手だし、美しいから踊り子としては成功しているのね?」
「トップではありませんけど、いつもナンバー2か、ナンバー3の地位にいます。私は他の踊り子とくらべて愛想が良い方ではありません。
でも特に私のことを気に入ってくれている人がいるようです」
そこで私はリッサさんがその後、どうなったのかがわかる場面まで時を進めました。
「あなたは今、何歳ですか?」
「24歳です。今、私はある豪商の妻となっています。
妻といってもたくさんいる妻の中の1人です。お金持ちや地位の高い人は何人も奥さんがいます」
「ご主人はどんな人かな? あなたはその人のことをどう思っているの?」
「太っていてヒゲをはやしています。いい人でも、悪い人でもありません。普通の人です。私もその人のことを好きでも嫌いでもありません」
彼女の陶器のような肌は一層さえざえとしています。そして淡々と彼女は話します。
さらに私はリッサさんのその後の人生へと時をすすめるよう誘導します。
「私は27歳になっています。子どもがいます。男の子です。2歳くらいの肌の浅黒い子です。私の肌は象牙色ですが子どもの肌はもっとずっと黒いようです。
夫の肌と私の肌の色の中間くらいなのです」
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0076.母親になったリッサ
「あなたはその坊やを愛しているの?」
「はい、とっても。子供が私の人生のすべてです。そして喜びです」
彼女は安らぎに満ちた優しい表情でゆったりとそう言いました。
私は意外な気持ちでそれを聞いていました。
というのもこんな表情を、催眠中に彼女がみせたのは初めてだったからです。
穏やかで口元に小さな笑みさえ浮かべて彼女は息子のことを話します。
彼女がいかに自分の息子を愛し、大切に思っているかがにじみ出ています。
この瞬間、彼女はたしかに1人の母親でした。愛しい我が子を思う1人の母親以外のなにものでもありませんでした。
実際には中学生のまだ本当の恋さえ経験のない彼女は母として今、最愛の息子のことを私に説明してくれています。
ところが、まもなく彼女の表情は今までになく曇りました。
私が次にリッサさんの人生での重要な場面へと誘導すると、彼女は1つ大きなため息をついてから話し出しました。
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0077.あまりにひどい仕打ち
「アシュレイは・・・息子は死にました」
「・・・それはいつですか?息子さん、アシュレイ君がいくつの時ですか?」
「アシュレイは2歳でした。
噴水のような・・・池がある場所です。そう、庭園の中の大きな池のような場所でアシュレイ頭をぶつけて浮かんでいたのです・・・
溺死だということになりましたが、溺死ではなく殺されました」
彼女の顔色はまた一段と蒼ざめ、元のように淡々と話し始めました。
「誰に殺されたのですか?」
「側室の1人です。アシュレイは男の子だったので、夫の財産の相続権が発生するのです。
自分の子どもの財産の取り分が減ることを恐れた側室の1人が溺死にみせかけてあの子を殺しました・・・
私に対する強い嫉妬の気持ちもありました。私はそれを憐れだと感じていました。
でも、まさかこんなひどい仕打ちを受けるとは思いませんでした。天使のような可愛い笑顔の男の子でした。もういません・・・」
「そう・・・かわいそうに・・・それからあなたはどうしたの?」
「また、ぼうぜんとしています。泣き暮らしています。あの子が私の人生のすべてでした。
あの子だけが人生の喜びでした。
絶望しています。
もう1人子どもが欲しいと思っていますが、こんなに暗い性格になってしまった私のところへはもう夫は通ってきません」
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0078.蘇った記憶
「今までずっと記憶がなかったのに、お母さんとおばあちゃんのことを思い出しました。
これまでは記憶から抹消していたかのように、思い出すことが出来なかったのです。
しかし、アシュレイを失ってから、あの虐殺の時の場面が蘇ってきたのです」
おそらくリッサさんが記憶を失っていたのは、自己防衛本能からでしょう。あまりにもむごい記憶を意識の底に隠しふたをしてしまったのです。
幼くて弱い女の子が生き抜くためには、そうせざるを得なかったのではないかと思われます。
そして今、愛する息子を失ったことが引き金になり、あの時の愛する家族を失った記憶が蘇ってきたのでしょう。
皮肉なことに母親も祖母もそして、息子も残虐に殺されたということが記憶のなかで重なったのかもしれません。
→ 筆者 ソウルミッション・セラピスト 中野日出美の プロフィール
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0079.私は沈んでいきます
「私は、今、死のうとしています。
息子が死んだ場所にいます。もう、なにも自分には残っていないと思っています。生きる力もありません。
みんなのいる場所に行きたいと思っています。
池の中の深いところに入って行きます。
そして、沈んでいきます・・・」
そうしてリッサさんは肉体から抜け出しました。
「リッサさん、あなたの人生を一言で言うとどんな人生だったのでしょうか?」
「失意の人生です」
「あなたは今どこにいるのですか?」
彼女の様子から、いつも肉体から抜け出して、すぐ向かうはずの中間世にはいないことに気づいた私は尋ねました。
「まだハーレムにいます。息子や自分が死んだ場所にいます」
「どのくらいそうしていたのですか?」
「わかりません。でも何年かはそうしていたようです」
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0080.アシュレイのカリキュラム
「では中間世へと向かった時まで時を進めてください」
「誰かが迎えに来てくれたようです。知らない人のようですがその人は私のことを知っているようです。
私はその人についていくことにしました。そうして上に上がって行きました」
ここからは中間世での様子です。
「ようやく息子に会えました・・・」
「アシュレイ君は何て言っていますか?」
「ママぁ・・・会いたかったよって言っています。私は息子を抱きしめています。それから、息子はこう言っています。
『これで僕の課題は終わった。これが今回の人生のカリキュラムだったんだよ』と言っています」
「それはどういう意味ですか?」
「今まで、私は息子は自分が目を離したから死んだのだと・・・自分の不注意で死んだのだと思い、自分を責めていました。
でも、彼が言うにはこのように死んでいくことは生まれる前から決まっていたことであり、自分も一緒に決めたことなのだそうです。
だからママの責任ではないよと・・・」
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0081.殺されることは決まっていた
つまり、リッサの息子であるアシュレイ君はわずか2歳で人生の幕を閉じることは初めから決まっていたことだったようです。
そして、殺されることも生まれる前からの計画通りだったということなのでしょうか?
「アシュレイは今回の人生では殺される立場を学ぶという課題を自分で計画したのだと言っています」
「そうですか。あなたは今、どのように感じていますか?」
「今、いろいろなことがわかりました。教えてもらいました。
本来、自分で人生を終わらせるという選択はないのだそうです。
自分で人生を終わらせても、ただ課題を持ち越すことになります。
ただ安楽死はまた意味が違うと・・・別だと言っています」
「誰がそのように教えてくれているのですか?」
「いつもの人ともっと高いレベルの人たちです。
リッサは失い続けることを乗り越えながら生きなければいけなかったのです。
大切な人も失うことがあるということを学ぶための人生だったのに、私は上手く出来ませんでした。
また私は女に生まれたことを悔やんでいました。女に生まれるとなんにも出来ない、男のやりたいまま、男次第の人生であることを恨んでいました。
でもこの時代、この国がそういうものであったのです。
学ぶためにこの時代のこの国に生まれてきたのだそうです」
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0082.放り出された人生の課題
「ではリッサさんから今の彼女にメッセージをいただけますか?」
「辛い時はいつまでも続かない。永遠には続かない。だから絶望してはいけない。私はもったいないことをしました。自分が死んでもなんにもならなかったのに。
あなたは課題をちゃんとクリアして欲しい。生き抜いて欲しい」
「ではいつもの人?からのメッセージはありますか?」
私はいつも人とは誰だろうと考えながら尋ねました。
「どうして途中で生きるのをやめて帰ってきたのだ。人生の苦しい時は一瞬なのだ。
これからの人生になにも残されていないなどと決めつけて人生を放棄するのはもったいないことだ・・・と言っています。
リッサの人生での課題がクリアできていないから、その後のたくさんの人生での課題にこの課題が何度も取り上げられているのだということです。
その課題には女の人たちの中で繰り広げられる情欲や愛憎、寵愛の奪い合いの中でどのように自分を見失わず生きていくか、というテーマも入っているだそうです。
この課題を途中で放り投げてしまったことを後悔しています」
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0083.ハイヤーセルフからのメッセージ
「ではハイヤーセルフからのメッセージをいただけますか?」
深い深呼吸の後で彼女はいつものように、いつもの彼女とは別人のような雰囲気に包まれながら答えてくれました。
「人生においては耐える時期がある。
死ぬほど苦しくとも、それ自体が人生の学びなのだから早まってはいけない。
ただ魂の課題が大きくなるだけであり、無駄なことだ。
決められた時間の中で決められた課題をクリアしてから帰ってくることが魂のグループ全体の願いであるから」
そしてしばらく時間をおいて続けます
「今、私の質問に答えてくれました。私はなぜこの世には病気があるのかと聞いたのです」
「なんと答えてくれたのですか?」
「新しい病気はどんどん出てくる。
はやり病は思いやりがないから蔓延する。
病気をつくって気づかせる。
自分のエゴで怒りやイライラしたり恨んだりすることによって自分が病気になる。つまり自分で病気をつくる。悲しみや疲れも同じこと。
そうして病気になると自分が弱る。自分が弱ることによって初めて弱いものの気持ちがわかり、一番たいせつなものに気づくことができる。
そうして思いやりを取り戻すことが出来る。
人間は自分が絶好調である時、なかなか弱者の気持ちがわからない。
傲慢になってはいけない。
強い立場であるのなら弱い立場のものに対する思いやりを持たなければならない。
強い体であるのなら弱い体のものに対する思いやりを持たなければならない。
悲しみや苦しみ、恨み、ねたみ、怒りは自分で手放さなければならない。
なぜならば、それらはすべて自分の心の中で作り上げているものだからだ」
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0084.いつもの人とは?
以上がリッサの人生の時のハイヤーセルフからのメッセージでした。
相変わらず部屋の中全体に張り詰めたようなエネルギーが満ち、私はいつもと同じように少し緊張して聞いていました。
彼女の口調もリッサでもなく、彼女自身でもない平坦でありつつも厳かな語調に変わります。
そしてメッセージの内容も魂の真理を説いたものであり、いつもながらこちらの魂を大きく揺さぶられる深淵なものでした。
それにしても彼女が言ういつもの人とは誰のことなのでしょうか?
催眠から覚醒させてから、いつもの人について質問しました。
彼女の答えはとても興味深いものでした。
「私は中間世に戻るとなぜかいつも同じ人が待っていてくれるんです。
そして、その人は実は催眠に入っている間、ずっと私の隣にいてくれるような感覚があるのです。おかしいんですけれど・・・」
「そうなの・・・その人はどんな人?」
「男の人です。着物姿のような・・・お内裏さまのような着物を着ています。紫色の。そして顔が浅黒い、目鼻立ちがはっきりとした人です」
「その人は誰なの?」
「よくわかりませんが、たぶん私を守ってくれているように感じます。いつも中間世に戻ると、よく頑張ったねという感じで迎えてくれます。私はなぜだか、ほっとします」
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