次にご紹介するのは対照的な生き方をした2人の女性の前世です。
そのどちらもが、もちろん彼女自身です。まったく違う国に生まれ、生活環境も性格も何もかも違う2人の女性のそれぞれの生き方をご紹介したいと思います。
セッションをした時期は違いますが、2人の人生を比較するために、あえて今回はこの2つの前世を並行して追っていきます。
2人の女性がどんな生い立ちを経て成長し、何を求めて生きたのか、そして人生の最期に何を望み、得たのかを私自身も、もう一度じっくりと振り返ってみたいのです。
この2つのセッションを受けたのは、彼女が高校生の時です。その頃、彼女はもうすでに何度も前世療法を体験していました。
そして、中学生の頃、抱えていた、たくさんの恐怖症や悩みは大きく改善していました。
ハイヤーセルフからのメッセージを大切にし、彼女自身の魂の課題を今回の人生でクリアし、魂の使命を果たすために努力していました。
そして、未来世療法によって見た第1志望の高校にも合格し、今まで眠っていた潜在能力を上手に使えるようになっていました。
しかし、当時の彼女はまだまだ、自分の中の葛藤や、周囲の人との関係に悩んでもいました。そんな理由もあって、セッションは、細く長く継続していたのです。
立て続けにいくつもの前世や未来世を見ることもありましたし、数ヶ月も間が空いたこともありましたが、彼女の被催眠性は、高まる一方でした。
その日の彼女は、ジーンズにセーターというラフな格好で、セッションルームに入って来ました。
高校に入学してから、肩位に切りそろえた髪をさらにショートカットに短くカットしていました。短いショートカットのヘアスタイルが、より一層、彼女の繊細な美しさを引き立てているように感じました。細く、頼りなげな首元には、細いネックレスをつけています。
彼女は、以前、窒息するのではないかという恐怖のために、ネックレスはもちろん、美容院でカットする際に使う首に巻きつける布にさえ抵抗を感じていたのです。その彼女が今、ネックレスをつけているのを見て、私は嬉しくなりました。
「似合うね」という私の言葉に、「今でも、あまりきついタートルネックの洋服などは着られないけれど」と彼女は少し照れながら、笑いました。
高校での生活などを聞きながら、これから行うセッションに徐々に焦点をあてていくようにカウンセリングを進めました。
中学生の頃に抱えていたさまざまな彼女の恐怖症は、少しずつ影をひそめているようでした。
しかし、自分以外の他者に対する漠然とした怖れ、自分を含めた人間への理由なき憤りは、未だに根強く残っていると彼女は言います。
しかし、高校生となった彼女の対人関係は、穏やかで、いたってスムーズにみえました。ただし、中学時代の彼女の対人関係に、問題があったのかというと、そうではありません。
彼女は穏やかで協調性の高い性格をしています。対人関係において、いざこざが起きるということは滅多にないことです。
そしてそれは、家族間でもまったく同じ様相を示しています。両親や兄弟とも、大きくもめた事はなく、感情的なぶつかり合いもほとんどないようです。
しかし、それはあくまでも表面上においてのことでした。彼女の繊細で分析がちな内面は、常にさまざまな思いで揺れているようです。
多感な思春期にいるのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが、問題はこの内面の思いをどのように昇華していくかということです。
今回のセッションで、どのくらいこの問題の核心に迫ることが出来るのか、少しばかりの不安と、それを大きく上回る彼女とのセッションの前に感じる高揚感を私は感じていました。
高校生になった彼女の催眠にかかる能力は、少しも衰えてはいませんでした。
長い誘導法よりも素早い誘導を好む彼女をいつものように瞬間的にトランスに入れ、前世の人格が現れるのを待ちました。
眠っているかのような静かな呼吸の中で、いつもどおり1つ大きく息を吐いてから、彼女は話し始めました。
「・・・地球が見えます・・・とてもきれいです・・・そしてその地球の中にぐんぐん引き込まれていきます・・・
ああ、今は森の中です。私は裸足です・・・土の上に立っています。私は小さな女の子のようです・・・年は、7歳です・・・
ブラウスにスカート、エプロンのようなものを着けています。長い髪を三つ編みにして、胸の辺りにたらしています。髪の色は金色・・・いえ、とても明るい茶色です・・・
私は今、とても恐怖を感じています・・・怖い・・・逃げているのです・・・出来るだけ遠くへと・・・家から離れるために・・・」
話し始めたときは、鷹揚だった彼女の口調は、次第に切羽詰ったものへと変わっていきました。
幼い少女に戻った彼女は、いったい何から逃げているというのでしょうか。そして家から出来るだけ離れなければならない理由があるようです。
「あなたは、いったい何から逃げなくてはならないのですか?」
私の質問に、彼女は一瞬、答えを探すように息を呑みました。
しかし、すぐその後、小さく首を振りながら、「わからない・・・怖い・・・見えそうで怖い・・・」と答えました。
「見えそうで怖い? 何かを見るのが怖いの?」
「うん・・・そう・・・見えたら怖い・・・」
彼女はつぶやくように答えました。幼い少女は、必死で何かを思い出すことを避けているようです。
私は、とりあえずこの少女を、この場から移動させることにしました。
「じゃあ、怖くなかった頃に戻ってみようか? いい?」
私の提案に少女は、こくんと頷きました。